沢村栄治とベーブ・ルースが名勝負 1934年の日米野球のサインボール寄贈 草薙球場に展示へ…

2025/08/31 09:01 

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 日本球界伝説の名投手・沢村栄治(1917〜44年)が、米国・大リーグの強打者を相手に草薙球場(静岡市駿河区)で快投を演じた1934年の日米野球。その時のものとされるサインボールが28日までに、所持者の鷲野優子さん(72)=焼津市=夫婦から同球場に寄贈された。出場していたベーブ・ルース(1895〜1948年)、ルー・ゲーリッグ(1903〜41年)のサインも入った貴重な歴史的資料で、今後は球場内の展示スペースに飾られる予定。
 ボールは優子さんの父、満之助さんの遺品。旧静岡商業学校(現静岡商高)の主軸として34年春に甲子園に出場した満之助さんは、同じ大会に京都商のエースとして出場していた沢村と同学年で、草薙球場で行われた日米野球ではボールボーイを務めた。優子さんは「ボールは父が一番大切にしていたもの。野球の話を聞くことはあまりなかったが、常に持っていた」と懐かしむ。
 後に母校の監督として52年に選抜優勝、その後はプロ球団・国鉄スワローズ(現・ヤクルト)の寮長、専修大の監督なども歴任した満之助さん。優子さんは野球に情熱を注いだ父の形見を大切に保管してきた。手放すことに寂しさはあったが、「草薙球場で皆さんに見ていただくことが、父が一番喜ぶ形だと思う」。野球振興に尽力した父の遺志を継ぎ、親族と話し合い決断した。
 寄贈の際は夫敏明さん(81)、姉の佐野三千穂さん(78)も同席し、3人で担当者に受け渡した。県野球連盟の森村謙司相談役理事(79)は「非常に貴重なボール。多くの人の目に触れる機会をつくっていただいた」と感謝した。
 ■1934年の日米野球 東京六大学出身者を中心とする全日本チームが、全米大リーグ選抜チームを迎えた親善試合。11月20日に草薙球場で行われた第10戦は、当時17歳の沢村栄治投手がベーブ・ルースら並み居る強打者を相手に9奪三振1失点と好投し脚光を浴びた。日本野球史の名勝負といわれるこの試合は、同球場の象徴的場面として語り継がれ、沢村、ルースが対峙(たいじ)する像が敷地内にある。
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