米イスラエル、ガザ戦後統治案で合意 「リゾート開発」は事実上撤回

2025/09/30 09:46 

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 トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は29日、ホワイトハウスで会談した。トランプ氏は会談後の共同記者会見で、米が提案したパレスチナ自治区ガザ地区の戦闘終結や戦後統治などに関する計画について、ネタニヤフ氏が「合意した」として謝意を示し、ネタニヤフ氏も米側の提案を「支持する」と表明した。

 ホワイトハウスによると、提案は20項目で構成。即時停戦、ガザ地区のイスラム組織ハマスが拘束する人質の解放、ハマスの武装解除のほか、「イスラエルがガザを占領・併合しない」ことも盛り込まれた。

 トランプ氏は、ハマスが受け入れを拒否した場合にはイスラエルによるハマスの壊滅を支持する考えを示しており、ハマスの対応が焦点となる。

 計画では、イスラエルとハマスが合意すれば、「即時に戦争は終結する」と明記した。ハマスが拘束する人質を解放する準備のため、イスラエルは合意されたラインまで撤収。この間、すべての戦闘は停止され、段階的な完全撤収の条件が整うまで戦線は凍結される。

 また、72時間以内にハマスが拘束するすべての人質が解放される。その後、イスラエル側もパレスチナ人の受刑者らを釈放する。武装解除に応じたハマスのメンバーは恩赦される一方で、ハマスの軍事インフラは破壊され、非軍事化のプロセスが進められるという。

 戦後統治に関しては、パレスチナ人や専門家で構成される非政治的な組織が暫定的に公的サービスを提供する。トランプ氏自身がこの組織の監督も担う暫定の統治機関のトップを務め、米側とガザ情勢に関して協議してきたブレア元英首相らもメンバーとなる。ハマスは統治に関与しない。

 また、計画ではガザからの住民の強制的な移住は行われず、住民がとどまることを奨励する。トランプ氏は2月、ガザを米国が所有し、住民を域外に移住させた上でリゾート開発する構想を表明していたが、事実上撤回した格好だ。

 イスラエルと将来のパレスチナ国家が共存する「2国家解決」案には、曖昧な表現で言及。「ガザの再開発」と「パレスチナ自治政府の改革」が実行された時には、「パレスチナの自決権と国家樹立に向けた道筋への条件が整うかもしれない」とした。ネタニヤフ氏は2国家解決に反対してきた経緯がある。

 トランプ氏は29日の会見で「今日は和平にとって歴史的な日だ」と強調。この計画がガザの戦闘終結にとどまらず、中東全体の和平につながると指摘した。

 ネタニヤフ氏もこの計画が「新たな始まり」だとし、第1次トランプ政権が仲介し、イスラエルと一部のアラブ諸国が国交を正常化した「アブラハム合意」(2020年)の拡大にも期待を示した。ただ、ハマスの武装解除の進捗(しんちょく)に応じて撤収する意向を示しつつ、当面は境界周辺にとどまるとも述べた。【ワシントン松井聡、エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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