トランプ米大統領（共和党）は２９日夜、予算切れに伴う政府機関の一部閉鎖を回避するためにホワイトハウスを訪れた民主党の連邦議会指導部の映像や音声を加工したフェイク動画を、自身のソーシャルメディアに投稿した。

　標的となった民主党の上下両院トップは不快感を示しており、一部閉鎖の回避に向けたぎりぎりの与野党協議にも影を落とす可能性がある。

　動画は３５秒間で、作者は不明だ。民主党の上院トップのシューマー院内総務と下院トップのジェフリーズ院内総務がトランプ氏ら共和党との協議後、記者団の取材に応じた際の映像を加工していた。

　ジェフリーズ氏は、元の映像になかった、メキシコの伝統的なつばの広い帽子「ソンブレロ」をかぶった上、長い口ひげも付け加えられていた。映像ではメキシコの民族音楽のマリアッチが流れていた。

　シューマー氏は声を加工され、黒人や中南米系の民主党離れに触れたうえで、不法移民に「無料の医療」を提供すれば票を得られるかもしれないなどと主張しているように描かれている。

　民主党は、政府閉鎖を避けるために暫定的な支出を認める共和党の「つなぎ予算案」に関し、医療保険補助の期限延長などを盛り込むように主張している。加工された発言はこの主張を意図的に曲げて伝える内容だ。

　ジェフリーズ氏はＸ（ツイッター）に「偏見は何も生み出さない。我々は決して後退しない」と投稿。シューマー氏もＸに「あなたは交渉などできない。かんしゃくを起こすことしかできないのだ」とトランプ氏に反発した。【ワシントン西田進一郎】