半数が65歳未満 山梨の1~9月特殊詐欺被害額、過去最悪に

2025/10/23 15:00 

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 山梨県内で1~9月に発生した特殊詐欺事件の被害額が約2億9540万円(暫定値)に上り、過去最悪となっていることが県警への取材で分かった。被害者の半数を65歳未満がしめており、高齢者以外の世代に被害が広がっている。

 県警によると、9月までに発生した特殊詐欺事件は65件。いわゆる電話での「オレオレ詐欺」が33件でもっとも多く、このうち警察官をかたる「ニセ警察詐欺」が8割超だった。65歳未満の被害者は47%で高齢者とほぼ拮抗(きっこう)している。これまで詐欺グループは高齢者を標的にしていたが、ここ数年は、対象を絞ることなく電話をかけるのが特徴という。

 県内では1件で1億円を超える被害も起きた。9月3日、中央市の40代男性会社員の携帯電話に音声案内の電話があり、指示された番号を押すと、警察官をかたる人物らが電話口で「あなた名義の携帯電話が事件に利用された」「保釈金を支払う必要がある」などと要求。男性は消費者金融からお金を借りるなどして計13回1億581万円を指定された口座に振り込んだ。

 こうしたニセ警察詐欺は、▽国際電話番号から着信がある▽LINEなどの通信アプリに誘導し、ビデオ通話で、警察手帳や逮捕状などを見せる▽個人の金融口座に振り込ませる――など共通の手口が使われる。振り込みではなく、暗号資産や金塊に変えさせる手口も増えているという。捜査関係者は「特殊詐欺の被害者が高齢者だという思い込みが被害を拡大させている。相手は『プロ』で、誰でもだまされる危険がある」と指摘する。

 県警は「警察が『あなたが捜査対象になっている』と電話で伝えたり、ビデオ通話で手帳や逮捕状を見せたりすることは絶対にない」として、注意を呼びかけている。【杉本修作】

毎日新聞

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