<eye>私たちも力になれれば-- 40年変わらぬ地元の優しさ
群馬県上野村の山々は10月上旬、紅葉で色付き始めていた。
乗客乗員520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故の犠牲者を追悼する「慰霊の園」では朝から村民2人が清掃活動にいそしむ。供えられた花の水を替え、敷かれた玉砂利をきれいにならす。
「遺族の方がいつ来られてもいいよう、年末年始を除く毎日、掃除や来園者対応を村民でしている」。維持管理に携わって34年という女性(76)が教えてくれた。「今でも涙を流す遺族を見かける。園を守っていかなくちゃという気持ちになる」
事故後、上野村は遺族と日本航空の3者で財団法人を設立した。村内にある慰霊施設の守り手として、村民が働く。
1985年の事故発生時、墜落現場「御巣鷹(おすたか)の尾根」で村の消防団員は事故機の捜索に力を貸した。村役場や宿泊施設では関係者の受け入れなどにも村民が奔走した。
当時の村は人口1968人だったが、今年10月1日時点で991人に半減した。ただ、65歳以上の高齢世代が半数近くを占め、事故の凄絶(せいぜつ)さや遺族の悲しみを知る村民は今も少なくない。
村で代々続く「今井家旅館」の今井秀子さん(73)は、旅館に宿泊した遺族の中で忘れられない夫婦がいる。娘3人を事故で亡くしていた。年に数回、慰霊で村を訪れていたという。
「娘はいい子だったのです」。夫婦とうち解けた間柄になったころ、女性が涙ながらに語る姿に娘を持つ同じ親として胸が詰まった。
「40年たっても、接した遺族の方がどうされているのかと思い出す度に気になる」と話す。自身も高齢になり、11月から旅館を休業することにした。
黒沢完一さん(82)は、御巣鷹の尾根の2代目管理人となり19年がたった。遺族の訪問があれば、「静かに慰霊させてあげたい」とあえて声は掛けず、見守る。黒沢さんは「私の体力が持つ限り続ける」と断言する。
慰霊の園や御巣鷹の尾根はいつ訪れてもきれいに整備され、犠牲者に静かに思いをはせることができる。
私たちも何か力になれれば――。40年変わらぬ村民の優しさが慰霊の地を守り続けていく。写真・文 平川義之
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