赤トンボが激減 奈良では1000分の1の地域も 農薬使用など影響か
赤トンボの代表種「アキアカネ」が全国的に激減している。奈良県内でも平城宮跡歴史公園など広範囲で目にするが、30年前の100分の1~1000分の1に個体数が減った地域も多く、奈良教育大の小長谷達郎准教授(理科教育講座)は「広範囲で明らかに減少している」と話す。水田や湿地の減少、アキアカネに強く作用する農薬の使用が原因と指摘されている。
赤トンボと呼ばれるトンボは約20種類。7月ごろから目にするものも多い。アキアカネは平野部で9月ごろに見掛けることが多く、日本の秋を彩る。
アキアカネは秋に田んぼの土の中に卵を産む。水が引かれる春に水の中で卵がかえってヤゴに。その後、夏前に稲の茎などに登って羽化する。この時点ではまだ赤くない。7~8月は暑さを嫌って山の高いところで過ごす。県内では曽爾村などでよく見掛けられる。稲刈りの頃、赤く色づいたアキアカネは平地に戻って飛び回り、田んぼに残った水たまりに腹を打ちつけて産卵する。
個体数の減少は2000年ごろから目立ち始めた。石川県立大の調査によると、1989年は同県内の水田全体の80%でアキアカネの羽化が確認できたが、2009年には19%にまで落ち込み、全国的に絶滅が危惧されている。小長谷准教授は「長期的な調査はなされていないが、奈良でも減っているとみられる」と話す。
元々は湿地に生息しており、稲作が始まると生息地を田んぼに移してきたと考えられている。開発などで天然湿地が大きく減り、水田も乾田化が進んだ。アキアカネに毒性が強く働くネオニコチノイド系農薬の使用が拡大したことなど、さまざまな要因が複合的に絡んで激減につながったとみられる。
水田が増えてアキアカネが卵を産める環境に戻れば、回復も見込まれる。小長谷准教授は「農薬の使用方法など、農業のあり方を考える時に来ている。人間の暮らしが変わり、環境が整えば赤トンボが舞う日本の原風景を残すことができる」と強調する。【山口起儀】
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