東条英機のひ孫、トルーマンの孫ら対談 「まず小さな対話を」 広島

2025/09/15 07:15 

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 かつて対立していた各国指導者の子孫らが平和について膝を突き合わせて語る――。戦後80年の時を経て、そんな対談が実現した。

 第二次世界大戦時のリーダーらの子孫が参加する平和プロジェクト「HOPE80」の講演会が14日、広島国際会議場(広島市中区)で開かれた。太平洋戦争を指導したとされる東条英機元首相のひ孫英利さん(52)や原爆投下を命じたトルーマン元米大統領の孫クリフトン・トルーマン・ダニエルさん(68)らが登壇した。

 二人は2015年に、オンラインを通じてテレビ番組に共演。以降、メールでやりとりを重ねるなど、お互い直接会う機会を求めていたという。

 英利さんによると、曽祖父がA級戦犯として処刑されたことから一族の家訓は「一切弁解するな」。「公で東条という名を語るのは難しく、(東条の)名前と向き合い切れていなかった」と振り返った。しかし、父が晩年、語らなかったことを悔いていたことや、いまだに世界では戦火が絶えないことから、自らの役割を再考。「私ができることは(指導者の)末裔(まつえい)同士、クリフトンさんと前向きな関係を築いて、両国の和解を促進することだ」と述べた。

 クリフトンさんは昨日初めて、英利さんと対面したとして、その際のエピソードも披露。宿泊先で朝食時に「何を食べた」と何気ない会話を重ねたという。英利さんは「頭はいろいろ考えるが、まずは小さな対話を重ねることが大事だ」と付け加えた。【安徳祐】

毎日新聞

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