「若い娘が聞く話でない」 多く語らなかった父が写した被爆後の長崎
米軍が原爆を投下した翌月の1945年9月から46年4月にかけて長崎市に滞在した元米海兵隊員が撮影した写真16枚を遺族が市に寄贈した。壊滅したまちの光景や生活を立て直そうとする市民の姿を記録した写真の数々に、長崎を訪れた遺族は「見た人は誰でも『これが戦争だ』と感じるだろう。とても悲しい写真だ」と語った。
撮影者は、当時21歳だったロバート・アイゼナハさん(87年に63歳で死去)。米国の占領政策の一環で長崎に滞在し、趣味で持っていた私物のカメラで撮影した。写真は死後、長女パトリシアさん(72)が引き継ぎ、2023年に長崎市に寄贈した。
長崎原爆資料館は今年2~7月の収蔵資料展で写真を展示。パトリシアさんは5月に見学に訪れ、寄贈までの経緯を語った。
◇父に聞いた長崎被爆の理由
パトリシアさんによると、アイゼナハさんが兵士として第二次世界大戦に参加したことは知っていたが、父は「若い娘が聞く話ではない」などと言い、9人の子供に戦時中のことをあまり語らなかった。
ただ、六女ドナさん(57)は高校生の頃、歴史の勉強で広島や長崎について学んでいた時、アイゼナハさんに「何を勉強しているんだ」と聞かれた。ドナさんが「歴史で広島」と答えると、父は自室にしまっていた長崎の写真を見せた。
パトリシアさんは自分で原爆について学び、アイゼナハさんに「なぜ広島の後に長崎に2発目の爆弾を落としたのか」と質問したことがあった。父は「日本が降伏しなかったからだ」と説明した。パトリシアさんはアイゼナハさんの死後、「父がいた場所が見たい」と考え、23年に写真を携えて長崎を訪問。ガイドらに勧められたこともあり「原爆被害の惨状を伝えたい」と市に寄贈した。
パトリシアさんは「写真を見ると戦争を実感させられる。過ちから学び、再び戦争を繰り返さないことを願っている」と話した。【尾形有菜】
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