両陛下が長崎訪問の感想公表 「平和への思いを新たにした」

2025/09/12 21:54 

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 戦後80年にあたり、12日に長崎県で原爆犠牲者を追悼した天皇、皇后両陛下はこの日の夜、侍従を通じて「原爆被害の悲惨さや、被爆された方々が受けた差別・偏見に深く心が痛みました」との感想を公表された。

 長崎市の平和公園で供花し、原爆資料館で被爆者と懇談する日程には、長崎を訪ねた経験のなかった長女愛子さまも同行。国内外で体験を伝え続け、被爆者救済活動にも尽力した被爆者たちの言葉に、ご一家そろって耳を傾けた。

 両陛下は「長崎の人々の苦難を思い、平和への思いを新たにした」との感想を明かし、愛子さまについて「原爆被害の実相を肌で感じるとともに、苦難を乗り越えてこられた長崎の人々の強い平和希求の思いを深く心に刻んでいます」と紹介した。

 夜に記者会見に臨んだ大石賢吾知事は「被爆者の平均年齢は86歳を超えた。長崎が最後の被爆地であり続けるために平和希求の活動を続けていきたい」と話していた。【山田奈緒】

 両陛下の感想全文は以下の通り。

 はじめて三人そろって長崎県を訪れることができ、うれしく思います。

 今日は午後に平和公園を訪れ、原爆落下中心地碑で花をお供えし、80年前の原爆投下により犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、これまでの長崎の人々の苦難を思い、平和への思いを新たにしました。

 長崎原爆資料館では、実物資料や写真の展示、また、井上館長の説明などから伝わってくる原爆被害の悲惨さや被爆された方々が受けた差別・偏見に深く心が痛みました。また、ジオラマを用いた説明を通じて、被爆前後の長崎市街や被害の状況などについて理解を深めることができました。

 その後、被爆された方々のお話をうかがい、皆さんが経験された苦難の一端に触れ、そのご苦労をしのぶとともに、皆さんがこれまでのつらい体験を自ら語ることを通じて平和の大切さを伝えておられることに深い敬意を抱きました。

 被爆された方々の体験を伝承する活動をされている若い方々ともお話をしました。戦後80年がたち、被爆を体験した世代が減りつつある中で、こうした若い人々の活動を通じて、被爆された方々のご苦労を次の世代に語り継いでいくことは大変意義深いことと思いました。

 初めて長崎県を訪れた愛子も改めて原爆被害の実相を肌で感じるとともに、苦難を乗り越えてこられた長崎の人々の強い平和希求の思いを深く心に刻んでいます。

 夕刻、大石長崎県知事から長崎県勢の概要と県が現在取り組んでいる諸施策についてもお話をうかがい、県が多くの離島・半島地域から構成されていることを踏まえ、遠隔教育や遠隔医療の充実に取り組まれていることなどについて、理解を深めることができました。

 今日は暑い中、多くの県民のみなさんにあたたかく迎えていただいたことに、感謝いたします。

毎日新聞

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