【台風15号】農作物の被害深刻 ビニールハウス360棟損壊 「収穫直前だったのに」…農家落…

2025/09/09 08:46 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 台風15号に伴う突風の影響で、施設損壊など地元の農作物が深刻な被害を受けている。牧之原市や吉田町、焼津市などでは8日までに、ビニールハウス計約360棟の損壊が確認された。特に牧之原市の被害は甚大で、野菜や花卉(かき)、茶など多岐にわたる。「収穫直前だったのに」と地元農家。あちらこちらから落胆の声が聞かれる。
 「億単位になるだろう」。牧之原市ではビニールハウス326棟が損壊し、うち169棟は全壊した。市は被害総額を調査中だが、見通せない。細江地区の国道150号以南の広大な農地エリアが顕著という。
 この地区でナスや空心菜を栽培するミャンマー出身のタンジットさん(43)は、所有するビニールハウス2棟が突風でつぶれた。収穫直前だった野菜は全滅。「1年半前に苗を植えて育ててきたのに、また一からやり直しか」と肩を落とした。
 市が全国に誇る茶への影響も懸念される。防霜ファン101基が倒壊などしたほか、茶畑に倒木やがれきが覆いかぶさり、農家が片付けに追われている。カネスギ製茶(同市坂部)の工場では、煙突6本が飛ばされた。杉本篤社長は「10月に秋冬番茶を控えている。それまでに修理が間に合うだろうか」と不安は増すばかりだ。
 市は県などと救済措置について検討を進めている。市の担当者は「未曽有の事態。みなさんが農業を再開できるようサポートしていきたい」と話した。
 焼津市でも牧之原市に近い大井川地区などの農地が被害に遭った。焼津市飯淵のイチゴ農園では、育苗用に設置したばかりの日よけ用シートが骨組みごと崩壊。農園を営む松田義人さん(42)は今月下旬からの定植作業に向け水やりや夜間の冷却を続けるが、連日の猛暑を懸念する。松田さんは「お客さんから励ましの声をいただいている。イチゴの生命力を信じつつ、やれることをやるしかない」と前を向く。
静岡新聞

静岡ニュース

静岡ニュース一覧>

注目の情報