100億円財源不足…静岡県「新図書館整備」が事実上の「事業ストップ」

2025/09/09 09:13 

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 約100億円の財源不足が判明した静岡県の新県立中央図書館整備について、県が建設工事費として設定した約268億円の債務負担行為を廃止し、本年度当初予算の関連費も減額する方向で調整していることが5日までの関係者への取材で分かった。新図書館を巡っては鈴木康友知事が県議会6月定例会の所信表明で、ゼロベースで整備案を再考する方針を示していた。これを受けて事実上、現在の整備事業を停止する予算措置を講じる。9月定例会に提出予定の9月補正予算案で対応する。
 県は資材費や人件費などの高騰に伴い、当時の計画段階で192億円とした総事業費を298億円に見直し、昨年9月定例会で、25〜27年度に必要な予算として約268億円の債務負担行為を設定。本年度当初予算にも整備事業費8億2500万円を計上していた。
 ただ、総事業費のうち、136億円の充当を見込んでいた国土交通省の社会資本整備総合交付金が34億円程度にとどまることが判明。県の実質負担額は103億円増の241億円に跳ね上がったことから、鈴木知事は「いったん立ち止まって整備方針を見直す」としていた。県教委は県議会文教警察委員会からの申し入れを受け、9月定例会で原因や責任、再発防止策などを盛り込んだ報告書を示す。
 新図書館は老朽化した現在の県立中央図書館(静岡市駿河区)をJR東静岡駅南口の県有地に全館移転して整備する。県はプロジェクトチームを組織して整備方針の再検討を進め、年内をめどに一定の方向性を打ち出す方針を示している。
 一方で、新図書館の建設時期が見通せなくなったことから、県は現在の図書館の一部故障設備などを修繕するため、9月補正予算案に関連費を盛り込む方向でも調整を進めている。
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