茶業界再興の起爆剤「抹茶ブーム」で煎茶供給地・静岡の問屋、岐路に 荒茶相場高騰追い打ちで製…
国内外で広がる「抹茶ブーム」は、長年の茶価低迷で苦境に陥っていた茶業界再興の起爆剤となりつつある。一方で、長らく煎茶の供給地として栄えてきた静岡県の製茶問屋は変革の岐路に立たされている。業界団体幹部は「輸出に対応できない業者は、これからどんどん廃業しかねない」と危機感を募らせる。
「今年の二番茶取引中盤に、『もうやめよう』と決心がついた。これだけ荒茶相場が上がれば、商売は成り立たない」。静岡市の製茶問屋で仕入れを担当していたAさんは、その「決心」を淡々と振り返る。同社は7月末に倒産した。
曽祖父が創業した家業を継ごうと、10年前に東京から実家に戻った。静岡県産煎茶を昔ながらの製法で愚直に製造してきた。同世代の茶商らと青年団活動にもいそしみ、共に業界発展を志した。「ただこの10年の業界は暗い話題ばかりで、先が見えなかった。最近の輸出バブルにも自社は対応できず、蚊帳の外だった」
そこに追い打ちをかけたのが、今期の相場高騰。ドリンク需要の拡大に加え、静岡、鹿児島の主産県で抹茶原料のてん茶への生産転換が急速に進んだ結果、煎茶の原料となる荒茶は供給不足に陥った。一番茶相場は下物で前年比約3倍、二番茶の平均単価も同2倍の1300円を超え、20年ぶりの高値水準に達した。
製茶問屋が年間を通じて小売店へ販売する定番商品の原料として欠かせない二番茶が買えない―。価格転嫁をしようにも卸先の理解が得られなかった。両親を説得し、家業に幕を引くことにした。
帝国データバンクによると、2025年の「製茶業」の倒産、廃業は全国で計11件(廃業10件、倒産1件)。すでに24年通年の10件を上回り、年間過去最多を更新する見通しだ。高単価な抹茶を扱う業者と煎茶を主とする旧来型の業者との格差も際立つ。同調査では、24年度に「増益」(前年度比)となった企業は51・2%と過去20年で最多。一方で、「減益」(18・3%)や「赤字」(29・3%)の「業績悪化」の割合も4割超を占め、収益力の二極化がうかがえる。
静岡県茶商工業協同組合の長瀬隆理事長は「変化する需要への対応力の違いが、業者間の格差につながる懸念は抱いていたが、これほど急激に進むのは想定外」と厳しく受け止める。その上で、「ブームがいつまで続くか分からない抹茶一辺倒になるのは危険性もある。煎茶文化を残せるか、静岡の茶商は正念場に立たされている」と話す。
「今年の二番茶取引中盤に、『もうやめよう』と決心がついた。これだけ荒茶相場が上がれば、商売は成り立たない」。静岡市の製茶問屋で仕入れを担当していたAさんは、その「決心」を淡々と振り返る。同社は7月末に倒産した。
曽祖父が創業した家業を継ごうと、10年前に東京から実家に戻った。静岡県産煎茶を昔ながらの製法で愚直に製造してきた。同世代の茶商らと青年団活動にもいそしみ、共に業界発展を志した。「ただこの10年の業界は暗い話題ばかりで、先が見えなかった。最近の輸出バブルにも自社は対応できず、蚊帳の外だった」
そこに追い打ちをかけたのが、今期の相場高騰。ドリンク需要の拡大に加え、静岡、鹿児島の主産県で抹茶原料のてん茶への生産転換が急速に進んだ結果、煎茶の原料となる荒茶は供給不足に陥った。一番茶相場は下物で前年比約3倍、二番茶の平均単価も同2倍の1300円を超え、20年ぶりの高値水準に達した。
製茶問屋が年間を通じて小売店へ販売する定番商品の原料として欠かせない二番茶が買えない―。価格転嫁をしようにも卸先の理解が得られなかった。両親を説得し、家業に幕を引くことにした。
帝国データバンクによると、2025年の「製茶業」の倒産、廃業は全国で計11件(廃業10件、倒産1件)。すでに24年通年の10件を上回り、年間過去最多を更新する見通しだ。高単価な抹茶を扱う業者と煎茶を主とする旧来型の業者との格差も際立つ。同調査では、24年度に「増益」(前年度比)となった企業は51・2%と過去20年で最多。一方で、「減益」(18・3%)や「赤字」(29・3%)の「業績悪化」の割合も4割超を占め、収益力の二極化がうかがえる。
静岡県茶商工業協同組合の長瀬隆理事長は「変化する需要への対応力の違いが、業者間の格差につながる懸念は抱いていたが、これほど急激に進むのは想定外」と厳しく受け止める。その上で、「ブームがいつまで続くか分からない抹茶一辺倒になるのは危険性もある。煎茶文化を残せるか、静岡の茶商は正念場に立たされている」と話す。
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