特別展の図録「情報源」に 浜松市博物館など「チャットボット」制作、AIが質問回答 学芸員の…

2025/08/24 09:20 

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 浜松市博物館は、特別展の展示図録を活用した生成人工知能(AI)による自動対話システム「チャットボット」を制作した。インターネット上の不特定の情報源から回答を作成するのではなく、2022年に開いた特別展「三方ケ原の戦いと家康伝承」の図録の内容に沿って質問に答えるのが特徴。
 静岡大情報学部、情報処理業のNXワンビシアーカイブス(東京)との共同事業。例えば、敗戦の悔しさを忘れないように描かせて戒めとしたとされる「しかみ像」について尋ねると「あくまでも後世に語られた逸話で、史実を直接示す一次資料ではない」との回答が示される。
 開発したアプリは試行段階で、31日に愛知県新城市で開かれる「戦国博覧会」の浜松市出展コーナーに限って公開する。21日に会見した鈴木一有館長は「来場者の反応を見て作り込みを見直したい。長期間、多くの人に使ってもらえる方策を考えていく」と話した。
 開発に携わった静岡大情報学部の村野正景准教授(博物館学)によると、図録は学芸員の調査研究の積み重ねを掲載した記録媒体だが、催事の会期に合わせた刊行で流通経路が限られる。村野准教授は、博物館の業務にデジタルを活用した変革が求められている現状に触れ、「過去の展示図録の活用は博物館界の大きな焦点であり課題だった。最初の一手としてテストしたい」と述べた。
 
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