「生き地獄、このまま死んでしまいたい」 ガザ住民から絶望の声

2025/05/19 08:52 

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 「もはや、いつ死んでもおかしくない」――。イスラエル軍が18日、パレスチナ自治区ガザ地区で大規模な地上侵攻を開始した。人道危機が広がる中での戦闘拡大に、住民たちからは絶望の声が上がっている。

 最大都市ガザ市中心部ではこの日、空爆が続く中、自家用車に布団や家具などを詰め込み避難する大勢の人の姿がみられた。

 「ガザはまるで生き地獄だ。食べ物や飲み物もない。もはや、このまま死んでしまいたい」。住民の男性(40)は交流サイト(SNS)を通じた取材に悲痛な思いを語った。

 イスラエル軍は16日夜に戦闘拡大を発表。男性は17日、家族と自宅にいた際に攻撃を受けて娘が負傷したと明かし、「戦闘を止めて、私の家族を助けてほしい」と訴えた。

 今回の軍事作戦で、イスラエルは住民を南部ラファに強制避難させる方針とも伝えられている。ガザ市東部のタクシー運転手、マジェド・シャリームさん(32)は毎日新聞助手の取材に「攻撃が激化すれば、劣悪な環境でもラファに逃れるしかない」と語った。

 さらにイスラエルは、ガザ住民の域外移住も視野に入れているとされる。米NBCは16日、トランプ米政権が、政治的混乱が続く北アフリカのリビアに移住させることを検討していると報じた。

 シャリームさんは「ガザはほとんどの建物が破壊され、教育や保健サービスなど社会の基盤が機能していない。状況がさらに悪化すれば、多くの人がガザを離れる決断を迫られるだろう」と嘆いた。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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