イスラエル軍がガザ地区で大規模な地上侵攻 ハマス最高幹部も殺害か

2025/05/19 07:30 

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 イスラエル軍は18日、パレスチナ自治区ガザ地区の北部と南部で大規模な地上侵攻を開始したと発表した。イスラム組織ハマスの壊滅を目指す戦闘拡大計画の一環としている。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、ガザでは空爆なども含めて18日だけで150人以上が死亡し、犠牲者が増え続けている。

 本格的な地上侵攻に先立ち、イスラエル軍はガザ全域へ大規模な空爆を実施し、ハマスの武器庫や対戦車ミサイル発射拠点など670カ所以上を攻撃したと発表した。またカッツ国防相は、13日の空爆で標的となったハマス最高幹部のムハンマド・シンワル氏が死亡したとの見方を示した。

 AP通信によると、18日は南部ハンユニス周辺で少なくとも48人が死亡し、このうち18人は子どもだったという。北部ジャバリヤの難民キャンプでは一家9人が死亡した。ガザ保健当局は、2023年10月の戦闘開始以来のガザ側の死者数が5万3339人になったと発表した。

 一方、イスラエル首相府は同日、3月から停止していたガザ地区への支援物資の搬入を再開すると発表した。「飢餓が発生しないよう、必要最低限の食料を供給する」としている。人道状況の改善が期待されるが、国連はイスラエルが計画する配布方法について「移動が困難な人に届かない」と批判している。

 激しい戦闘が展開される中、停戦交渉は続いている。米ニュースサイト「アクシオス」によると、米国は45~60日間の停戦と引き換えに、ハマスが人質10人を解放する案を提示した。イスラエルはパレスチナ人の囚人を釈放する。

 この案には、イスラエルが一方的に戦闘を再開できないようにする文言も盛り込まれているという。情報筋は、一時的な停戦でも、戦争終結の可能性があることをハマスに示し、合意を促すものだと指摘している。

 ネタニヤフ首相は前向きな反応を示しているが、多くの条件や留保を付けているという。ハマス側は肯定的な返答をしておらず、恒久的な停戦につながる明確な保証を求めているとされる。【エルサレム松岡大地、ベイルート金子淳】

毎日新聞

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