「長崎を最後の被爆地に」 平和祈念式典 高市首相あいさつ全文

2026/08/09 11:41 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 米軍による長崎への原爆投下から81年となった9日、長崎市で平和祈念式典が開かれ、参列した高市早苗首相があいさつを述べた。全文は次の通り。

 81年前の今日、長崎の地に投下された一発の原子爆弾により、多くの方々の貴い命が失われました。

 街は一瞬にして焦土と化し、この地におられた方々の日常は瞬時に断ち切られ、家族と過ごす時間も、将来への願いも、すべてが奪われました。

 一命をとりとめた方々にも、耐え難い苦難の日々をもたらしました。

 内閣総理大臣として、原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊(みたま)に対し、謹んで、哀悼の誠を捧(ささ)げます。

 そして、今なお被爆の後遺症に苦しまれている方々に、心からのお見舞いを申し上げます。

 焦土と化した街が、このように美しく復興を遂げたことに、私たちは改めて、市民の皆様が積み重ねてこられたご努力、そして、平和の尊さを強く感じる次第です。

 81年前の長崎と広島の惨禍を決して繰り返させてはなりません。

 我が国は、「非核三原則」を堅持しており、「長崎を最後の被爆地に」という誓いの下、「唯一の戦争被爆国」の使命として、「核兵器のない世界」の実現に向けた現実的かつ実践的な取り組みを推進しています。

 先般の「核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議」は、厳しい国際安全保障環境の下での開催となりましたが、我が国は、被爆地の方々の思いを伝えながら、「NPT」の維持・強化に向けた結束を各国に呼びかけました。

 今後も、「ヒロシマ・アクション・プラン」に基づき、一歩一歩、着実に努力を積み重ねていく決意です。

 世界に被爆の実相の正確な理解を広めていくことの重要性は、ますます高まっています。

 世界中の指導者や未来のリーダーに被爆地訪問を呼びかけ、被爆の実相に触れていただくことで、核兵器使用の惨禍に関する記憶を継承していく取り組みを続けてまいります。

 被爆から長い年月が経過し、被爆者の方々がご高齢となられる中、多様化する課題に向き合いながら、保健、医療、福祉にわたる「総合的な援護施策」を進めてまいります。

 特に、「原爆症の認定」について、一日も早く結果をお知らせするため、できる限り迅速な審査を行うよう、努めてまいります。

 「被爆体験者」の皆様に対しましても、被爆者の方々と同等の医療費助成を、着実に実施してまいります。

 この街には、81年前のあの日を経験した被爆樹木があると伺っています。

 強烈な爆風と熱線によって幹を焼かれ、枝を折られても、しっかりと大地に根を張り、再び葉を芽吹かせた被爆樹木の姿は、筆舌に尽くし難い苦しみと深い悲しみの中にあった方々の心に、希望の光を灯(とも)したことでしょう。

 被爆樹木の姿は、廃墟(はいきょ)から見事に復興を遂げられた長崎の皆様の姿とも重なります。

 市民の皆様の不断のご努力により、「国際文化都市」として今日の姿を築かれた長崎市において、「核兵器のない世界」と恒久平和の実現に向けて尽力することをお誓い申し上げます。

 結びに、原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊の安寧と、ご遺族、被爆者の皆様、並びに参列者、長崎市民の皆様のご平安を祈念いたします。

令和8年8月9日

 内閣総理大臣 高市早苗

毎日新聞

社会

社会一覧>

注目の情報