伊藤匠王座「いい勝負できている」 藤井聡太前王座から2冠目奪取

2025/10/29 11:48 

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 将棋の王座戦五番勝負で藤井聡太前王座(23)を破り、叡王と合わせ2冠となった伊藤匠王座(23)が奪取から一夜明けた29日、甲府市で記者会見に臨んだ。

 以前は好勝負にするのも難しかった藤井前王座から、2冠目を獲得した。「最近はある程度よい勝負はできている」と語り、手応えを感じさせた。

 ◇フルセットに喜び

 叡王を獲得した2024年の叡王戦五番勝負、初防衛した今年の叡王戦五番勝負、そして今シリーズと、いずれも3勝2敗のフルセットでものにした。

 「タイトル戦は全国各地いろいろな対局場で指すので、なるべく一局でも多く対局するのが理想。王座戦は2勝1敗で迎えた時点では4局目で勝ちを目指したが、フルセットまで対局できるのは非常によいことで、フルセットの状況で対局できることに喜びを感じていた」

 先に王手をかけながら追い付かれて最終局に持ち込まれたプレッシャーはなかったという。

 ◇目標のA級へ一局一局

 自身の課題を尋ねられると中盤戦の戦い方を挙げた。

 「苦しい状態で終盤を迎えるケースもタイトル戦ではよくある」

 それでも結果を出せたのは「苦しい中でも最善を尽くして指し続けるというところが、ここ最近はできている」と終盤力の充実ぶりを見せた。

 名人戦順位戦では現在、上から2番目のB級1組で6勝1敗でトップに立っている。

 「名人は、まずA級まで行かないと挑戦権を争うことができない。まだまだ長い戦いだが、まずはA級昇級を目指して一局一局やっていきたい」

 今期の昇級を目標に掲げる。

 ◇縮まる距離、深まる自信

 初タイトルの叡王を獲得した24年6月には「藤井さんを追い掛けてここまで来られた。藤井さんがいなかったらタイトルも取れなかった」と語っていた。

 そして、ついに藤井前王座から2冠目を獲得した。

 「今までの藤井戦ではできなかったような将棋が指せて自信にもつながる。藤井さんとは以前はなかなかいい勝負にするのは難しい感覚だったが、ここ最近はある程度よい勝負はできている感覚もある」

 藤井前王座との距離が縮まっていることがうかがえ、自信をにじませた。【丸山進】

毎日新聞

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