7月参院選、1票の格差3.13倍は「違憲状態」 高裁金沢支部判決

2025/10/29 14:42 

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 「1票の格差」が最大3・13倍だった7月の参院選は投票価値の平等を保障した憲法に反するとして、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の判決で、名古屋高裁金沢支部は29日、「違憲状態」と判断した。前回2022年選挙と同じ枠組みで格差は3・03倍から拡大しており、国会の対応を不十分とした。無効請求は棄却した。

 「合憲」とした24日の大阪高裁判決と判断が分かれた。全国14の高裁・高裁支部に訴訟が起こされており、最高裁が統一判断を示す見通し。

 参院選の1票の格差訴訟を巡っては、最高裁が10年選挙(最大格差5・00倍)と13年選挙(4・77倍)を「違憲状態」とし、都道府県を選挙区単位としている仕組みの抜本的な見直しを求めた。

 国会はこれを受け、16年選挙から「鳥取・島根」「徳島・高知」をそれぞれ一つの選挙区とする合区を導入。格差は3・08倍にまで縮小し、最高裁は17年に合憲と判断した。19年選挙はさらに埼玉選挙区の定数を2増して格差は3・00倍となり、最高裁は20年に再び合憲とした。

 22年選挙は、19年選挙と同じ枠組みで実施され、格差は3・03倍に微増した。最高裁は23年の判決で「格差是正を進めていくには国民の理解も得る必要があり、一定の時間を要する」とし、3回連続の合憲判断を示した。ただし、「更なる格差の是正は喫緊の課題」とも指摘していた。【三上健太郎】

毎日新聞

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