新素材ベンチャー元幹部ら2人書類送検 秘密情報を持ち出し疑い

2025/08/01 21:37 

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 石灰石が主原料の新素材を開発・製造する新興企業「TBM」(東京都千代田区)の技術データを不正に持ち出したとして、警視庁生活経済課は1日、同社の元次世代事業推進室長の男性(57)=東京都世田谷区=を不正競争防止法違反(営業秘密領得)の疑いで、元社員の男性(34)=東京都中野区=を同法違反ほう助の疑いで書類送検した。

 元室長は自身が開発に携わった新素材の技術データを持ち出したといい、同社を離れた後に設立する新会社で活用する目的だったとみられる。

 元室長の書類送検容疑は2023年6月27日ごろ、同社が持つ、二酸化炭素を回収して再利用する「カーボンリサイクル」の技術に関する分析データを、会社で貸与されたパソコンから外部サーバーにアップロードして保存したとしている。元社員の容疑は、元室長を手助けしたとしている。

 元室長は容疑をおおむね認め、元社員は認めているという。警視庁は、起訴の判断を検察に委ねる「相当処分」の意見を付けた。

 警視庁によると、幹部社員だった元室長は23年6月下旬、同推進室で一部の社員しか閲覧できないデータが入った約80のファイルを外部に保存したとされる。

 社内調査で情報の持ち出しを把握した同社は同7月に警視庁に相談。元室長は同8月に懲戒解雇され、同12月に新会社を設立したが、データ使用の形跡は確認されていないという。

 同社は懲戒解雇を公表した際、元室長について、独立を計画し、他社と面談や連絡をして社外秘の情報を伝えたと指摘していた。

 同社は、プラスチックや紙の代替となる素材「LIMEX(ライメックス)」を主力商品とする。創業10年以内で企業価値10億ドル以上の非上場ベンチャー企業を指す「ユニコーン企業」として知られていた。23年には、経済産業省が潜在力の高いスタートアップ企業を集中支援するプログラムに選定された。【菅野蘭】

毎日新聞

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