表彰されたのは着ぐるみの“中の人” 警察官の妻が人気者になるまで

2025/07/09 15:48 

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 京都府にある綾部警察署物部駐在所の大坂智哉巡査部長(52)の妻明美さん(52)が、手作りオリジナル着ぐるみをかぶって防犯教室や交通安全イベントなどで活躍していることが評価され、8日、府警本部から表彰された。綾部市物部町の駐在所を訪れた上田博之・府警地域部長は「夫婦二人三脚で地域防犯力の向上に貢献された」とたたえた。

 着ぐるみは、警察官の制服を着た犬の「くうちゃん」。大坂夫妻の愛犬のミニチュアダックスフント「くうた」がモデルだ。智哉さんは「くうたが進化して駐在所の仕事を手伝ってくれている」と設定している。くうちゃんは子どもたちに大人気。明美さんが入っていることは内緒だが、小さな子どもたち以外の住民は、この秘密を知っているらしい。

 右京署に勤務していた智哉さんは、子ども2人の独立を機に「地域密着の警察活動をしたい。地域に溶け込み、一人暮らしのお年寄りら弱い人を守りたい」と駐在所勤務を志願した。明美さんは夫の希望をかなえるために看護師を辞め、2022年4月、物部駐在所での生活が始まった。

 くうちゃんが誕生したのは23年の夏だった。地域の人に防犯・交通安全の印象づけるにはどうしたらいいかと考え、明美さんが思いついた。材料は100円ショップやホームセンターなどで調達した。「初代くうちゃん」は長い顔だったが、現在の2代目は顔も体もかわいらしく丸みをもたせた。

 明美さんは「くうちゃんになると人と接しやすくなる。家族連れが『くうちゃんやで』と集まってくれたり、ハグしてくれたりする。一緒に写真を撮る時、見えないけれど私も笑顔です」と話す。

 「くうちゃんを防犯教室に呼んで」と、明美さんが住民らに働きかけることもある。特殊詐欺防止を智哉さんが説明し、くうちゃんが踊る。智哉さんは「くうちゃんと一緒だと、みなさんの反応、防犯意識の変化が全然違う」と妻の協力に感謝する。

 くうちゃんは駐在所管内の物部、志賀郷両地区だけでなく、綾部市内各地で活躍するようになった。上田地域部長は「奥さんの力添えがあり、大坂巡査部長もすごく心強いと思う。京都府警の駐在所の見本を大坂夫妻が示してくれている」と称賛した。【庭田学】

毎日新聞

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