SNSで話題「トカラの法則」真偽のほどは? 地震の専門家に聞いた

2025/06/28 14:54 

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 鹿児島県のトカラ列島近海で地震が相次ぐようになってから、28日で1週間が過ぎた。福岡管区気象台によると、28日午前11時までに震度1以上を観測する地震が515回発生した。

 頻発する地震に関し、X(ツイッター)などの交流サイト(SNS)上では「トカラの法則」という俗説が話題になっている。

 トカラ列島近海で地震が相次いだら、その後に国内の離れた場所で大地震が起きるとのうわさだ。これについて専門家は「科学的根拠がない」と明確に否定する。

 「トカラの法則」と呼ばれる俗説は、いつ生まれたのだろうか。

 X上では2016年ごろから、関連の投稿が確認できる。この年はトカラ列島近海で2、4、7月に各20回以上、12月に55回の地震があった。

 Xの記述をたどると、当初は「トカラ近海で地震が頻発したら桜島が噴火する」という内容だった。それが年月を経るうち、「このあと大地震が起きる」に変わったようだ。

 実際に熊本地震が起きる直前の16年4月1~8日には、トカラ列島近海で9回の地震が観測された。24年元日の能登半島地震の前には、約2カ月間で46回の地震があった。

 ただ、熊本大の横瀬久芳准教授(海洋火山学)は俗説について「科学的な根拠がない」と断言する。

 横瀬准教授によると、トカラ列島周辺の海底では、陸側のプレートに海側のフィリピン海プレートが沈み込んでいる。海側のプレートには大規模な隆起があり、この部分が陸側のプレートに衝突した際に陸側のプレート内部が破壊され、地震が起きるという。

 横瀬准教授は、こうした特殊な海底地形の影響で、トカラ列島近海は普段から地震が多い場所だと分析している。その上で「今回頻発した地震はすべて小規模。この程度の地震が巨大地震を誘発することは考えにくい」と話した。

 トカラ列島は屋久島と奄美大島の間にある。列島を構成する12の島のうち、悪石(あくせき)島では今月21日以降に震度4を6回観測した。悪石島には43世帯89人が暮らしている。【最上和喜】

毎日新聞

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