過去に起きた小中学生による殺人事件 法改正につながったケースも

2025/05/13 10:58 

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 千葉市の中学3年の男子生徒が12日、84歳の女性を路上で殺害したとして千葉県警に逮捕された。過去に小中学生が起こした殺人事件の中には、法改正につながった事件や、トラブルの兆候に気づく難しさが浮き彫りになったケースもあった。

 1997年2~5月には、神戸市で小学生5人が襲われ、うち2人が殺害される事件が起きた。殺人などの容疑で逮捕されたのは14歳の男子中学生。「酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)」と名乗り、遺体の一部を切断して中学校の校門近くに置くなどの猟奇的な犯行が日本中を震撼(しんかん)させた。

 少年は、祖母が亡くなった小学5年の頃からナメクジやカエルを解剖、さらに小学6年の頃から猫を殺し始めたとされる。一方、両親には感情を素直に出さなくなっていたと神戸家裁は認定。医療少年院送致とする保護処分を決定した。

 この事件を契機に、2000年には刑事罰の対象年齢を16歳以上から14歳以上に引き下げる改正少年法が成立した。

 ただ、その後に長崎県で相次いだ重大事件は、改正法の適用年齢より更に若年の少年によるものだった。

 03年7月には長崎市で、4歳の男児が中学1年の男子生徒(12)に誘拐され、駐車場の屋上から突き落とされ殺害された。遺族は極刑を求めたが、長崎家裁は児童自立支援施設へ送致する保護処分を決定した。

 翌04年6月には佐世保市の小学校で、6年の女児が同級生の女児(11)にカッターナイフで切りつけられ殺害された。

 加害女児はバイオレンス、ホラーなどのジャンルのインターネットサイトに頻繁にアクセスしていたが、家族はそれを知らなかったとされる。事件直前にあった作文の授業では、「殺す」や「殺し」という言葉を何度も使っていたが、そのシグナルに気がつく人はいなかった。女児には、児童自立支援施設への送致という処分が下された。

 00年の少年法改正が処分に影響したのが、20年に福岡市の大型商業施設で起きた殺人事件だ。中学生だった15歳の少年が、客の女性(21)の首などを包丁で何度も刺し殺害した。

 少年は成人同様、裁判員裁判の法廷に立った。証拠調べなどによると、少年は幼少期に家庭内で虐待を受けていた。小学生の頃から暴力行為によるトラブルを繰り返し、中学生で少年院に入院。事件2日前に少年院から仮退院して福岡県内の更生保護施設に移り、1日でその施設を抜け出していた。

 福岡地裁はその経緯を踏まえ「保護処分で更生する可能性が高いとみるのは困難」として懲役10年以上15年以下の不定期刑を言い渡し、確定した。(年齢はいずれも当時)【原奈摘、西本紗保実】

毎日新聞

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