「復興のシンボルに」 卓球、バスケ 石川県プロスポーツの挑戦
2024年、元日の地震と秋の豪雨で大きな被害を受けた能登半島。石川県を拠点とするプロスポーツチームが、被災地の復興支援に取り組んでいる。その原動力となっているのは、被災地への強い思いだ。
◇「気持ちを高ぶらせる試合を」
卓球のノジマTリーグ・金沢ポートは、リーグ参入初年度だった。チームの社長兼監督の西東輝さん(33)は「被災直後はやるべきことが多すぎ、当時の記憶があまりない」と振り返る。1月13、14日に小松市で予定していたホームゲームは中止に。まずは自分たちの生活や練習をどうするかで精いっぱいの時期にもかかわらず、被災地復興に向け支援を募る「金沢ポート基金」(https://www.kanazawa-port.jp/donation)を設立。被災からわずか4日後の1月5日だった。
翌月にはチームとして、被災した県内自治体での炊き出しや、卓球教室のボランティア活動を始めた。主将でエースの松平健太選手(33)は、被害の大きかった七尾市出身。「被災地のために何かしなければ。一刻も早く」と復興支援でも先頭に立ち、引っ張った。
避難所に卓球台を持ち込み、選手がプレーを披露した後には、被災者が自然と集まって卓球をする姿が見られた。卓球が被災地を笑顔にすることが何よりうれしく、炊き出しとともに、卓球台も寄贈することにした。
チームはパリ・オリンピック女子団体で銀メダル、シングルスで銅メダルを獲得した早田ひな選手(24)らトッププレーヤーの協力を得て、被災地をたびたび慰問。金沢ポート基金で集まった1000万円を県に寄付した。復興支援に尽力しているにもかかわらず、「一番やるべきことができていない」と西東さんは悔しさを隠さない。
ボランティアは他の人でもできる。ただ「試合会場に来たら元気が出る」と気持ちを高ぶらせてもらうことは、自分たちにしかできない。地元のチームとして、結果こそが何よりの支援だ。今シーズン、金沢ポートは6チーム中5位。昨シーズンに続き、年間王者を決めるプレーオフには届かなかった。
西東さんは、ホームゲームで敗れると、必ず被災地を訪れるという。まだ爪痕の残る土地、傾いた家屋を見て「落ち込んでいる時間はない」と気持ちを切り替える。もう、来シーズンへ向けた戦いは始まっている。
◇世界中から集まる 真の復興を
輪島塗の製造販売「田谷漆器店」(輪島市)は、22年からTリーグの表彰式で贈る記念品を制作している。地震で工場や事務所、倉庫は全壊し、ギャラリーは全焼。3月の表彰式を前に、制作途中のトロフィーやメダルがすべて壊れてしまった。代表の田谷昂大さん(33)は「今年は無理だ」とあきらめかけたという。苦境を支えたのが、加賀市の山中漆器。製造を委託することで、何とか納品に間に合わせた。
輪島塗は膨大な工程を分業する。ひとつを作り上げるのに6、7人の職人が携わる。田谷さんが務めているのは、職人を束ねて、デザインや工程管理をする「塗師(ぬし)屋」。被災後も全国から注文が絶えなかったことを「仕事があることが何よりありがたかった」と振り返る。工場が稼働できない状態だったものの、新規受注を断らず、他の漆器店10社以上に製造を委託。業界全体を支えた。
3月21、23日にあったTリーグの表彰式。今年も山中漆器や他の伝統工芸の担い手と協力し、トロフィーやメダル、盾を贈った。田谷さんは「いろんな人に助けてもらい、着実に24年1月1日より前に進んでいる」と前を向く。目指しているのは自社の再建だけではない。「輪島塗を買うために世界中から人が集まるような魅力ある場所にしたい」。自分たちの商いを真剣に続ける先に、真の復興があると信じている。
◇七尾に戻り復興のシンボルに
バスケットボールBリーグ3部の金沢武士団(サムライズ)は被災前、七尾市が練習拠点だった。普段練習していた田鶴浜体育館が避難所になり、チームは1カ月間、活動を休止。そんな中、チームのゼネラルマネジャー(GM)兼アドバイザーの原島敬之さん(63)が被災翌日から田鶴浜体育館で炊き出しをするなど、被災者に寄り添った。被災した人たちを元気づけようと、原島さんが田鶴浜体育館2階で開いた居酒屋「語ろう亭」には多くの被災者が憩いの場を求めて集まり、メディアに取り上げられたことで全国から支援が寄せられた。
チームの運営会社社長を務める中野秀光さん(66)は「こういうときこそ、みんなが語り合える場所を作らなければいけないと思った。お酒を飲んでいろいろなことを吐き出し、コミュニティーが広がってファミリーになった。被災は不幸なことだけど、暗くしていなければいけないわけじゃない」と振り返る。
チームは、シーズン中にはバスケットボール教室などの交流、シーズンオフにはがれき撤去といった復興支援に取り組んでいる。被災時に所属していた選手は4人。市橋歩選手(26)は「まだまだ復興は道半ば。被災者との交流、復興支援はもちろん続けるけど、一番はプレーで力づけたい」と強調。七尾市に住んでいた選手やスタッフは一時的に活動場所を移しており、東野恒紀選手(25)は「一日でも早く七尾に戻り、金沢武士団が復興のシンボルになりたい」と前を向いた。【酒井雅浩】
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