きょう10日開幕「掛川祭」 屋台の位置や経路、アプリで配信 「ひしめく場面 見て」と地元出…

2025/10/10 09:48 

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 掛川市中心部の7神社と氏子41町が参加する「掛川祭」(10〜12日)で、多数ひしめく屋台の経路や現在位置を配信するアプリを市出身の大学生が開発し、掛川観光協会の協力を得て、今年から本格運用を始める。見物客らが屋台を見つけやすく、祭りの運営側も「屋台が集中する場面を見てもらえる」と期待を込める。
 アプリ名は「MaTool(マツール)」。小学生の時から地元・城北町の一員として掛川祭に参加してきた大阪大基礎工学部4年の松下和也さん(21)が開発した。各日の屋台のルートや余興を披露する場所などを町ごとに表示する。
 松下さんは大学進学後も祭りの時期は帰省して自町の運営に携わってきた。2023年に地元の仲間から「屋台の位置が分かるシステムがあれば、一時的に離れていても合流しやすい」と相談を受け、開発を始めた。デバイスを閉じている間の位置情報の取得が難しかったが、人工知能(AI)も活用して実用化させた。
 掛川祭では、町同士が屋台通行の優先権を交渉する「外交折衝」が見どころの一つ。祭りを運営する年番本部は「外交に不利と考えて、ルート公開に抵抗のある町が多いのでは」と心配したが、実際は多くの町が公開に協力した。原野繁年番長(36)は「盛り上がっているところを見てもらえれば」とアプリを歓迎する。表示するルートなどは、道路使用許可のための警察への提出書類作成にも活用した。
 松下さんは掛川北中の授業でプログラミングに出合い、3年時に人型ロボット「ペッパー」を活用したプログラミング成果発表会・クラブ部活動部門で全国優勝した。大学卒業後は、アプリ開発に関する会社への就職が決まっている。
 松下さんは「祭りを長く続けていくには多くの人に興味を持ってもらうことが必要。観光客にも地元の中高生にも使ってもらいたい」と伝統継承への一助となることを期待している。
 アプリのダウンロード方法は掛川観光協会ホームページに掲載。利用は無料。
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