【台風15号から2週間】被災者のストレス反応現れやすい時期、周囲ができる「応急処置」を 支…

2025/09/19 08:26 

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 静岡県内に甚大な被害を与えた台風15号から19日で2週間。疲労やストレスがたまった被災者はストレス反応が現れやすく、支援者の疲労も懸念される時期となる。心のケアに詳しい専門職は「今後一定数ケアが必要な人は出てくるだろう」と指摘し、関係機関は連携して必要な支援につなげる体制を敷く。周囲ができる対応には「心理的応急処置(PFA)」を提案する。
 「発災時に家に誰もいなかったのがまだ良かった。そう思わないと崩れ落ちそう」「今自分が倒れるわけにはいかない」―。被災者は被害を受けた衝撃と悲しみを抱えながらも、被害回復に追われる日々を送っている。
 発災から2週間は、被災者や支援者の間に連帯感が生まれて一見元気そうに見えるがストレスが蓄積していく「ハネムーン期」に当たる。通常業務に加えて台風関連の業務もこなす行政職員の負担も心配される。被害の大きかった牧之原市を訪れた県立こころの医療センターの大橋裕院長は「少しずつ気持ちや体が疲弊していることを認識しづらく、自分が思っている以上に心身がすり減っている時期になる」と説明する。頭痛や腹痛、睡眠の問題が生じたり、抑うつ感や喪失感などが現れたりすることがある。
 発災から1週間は、巡回する保健師が精神的な医療ニーズを確認し、災害派遣精神医療チーム(DPAT)が保健師から電話で相談を受ける体制を取った。16日からは牧之原市が相談窓口を開設し、市の臨床心理士や保健師らが市総合健康福祉センター「さざんか」や自宅訪問で相談を受けている。同市は精神科医療の資源が少ない地域でもあり、大橋院長は「SOSが上がった時は積極的に応じたい」と話す。
 日本DPAT隊員として、発災から4日後に同市へ駆けつけた県立こころの医療センターの作業療法士岡庭隆門さんは「大人に余裕がない中で、子どもたちのメンタルヘルスも注意が必要になる。大人が子どもとゆっくり話せる時間を少しでもつくれれば」と勧める。心理的知識がなくても周囲ができる支援として、国内外の専門家団体が推奨する心理的応急処置を紹介する。「行動原則は『見る、聴く、つなぐ』。関心を寄せて被災者の話を傾聴し、行政などの支援につなげてもらえたら」と呼びかける。
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