“おいしさ”をAIで見える化!? 静岡県立大発のベンチャー、風味の言語化や相性解析

2025/09/14 10:55 

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 静岡県立大食品化学研究室と、同大発のベンチャー企業「DigSense[ディグセンス]」が、食材の風味を科学的に分析・可視化するAIシステムを開発した。これまで個人の感覚や経験に頼ってきた“おいしさ”や風味を言語化し、食材同士の相性を評価したり、風味の特徴をマッピングしたりする多角的な分析が可能に。新たな技術は、食品メーカーの商品開発やマーケティングの現場で実用が広がっている。
 同社が開発したシステムは三つ。成分情報から風味を言語化する「風味言語化AI」、食材同士の相性を数値化する「相性解析AI」、風味の特徴を視覚化する「風味ポジション可視化AI」だ。これらを組み合わせることで、風味設計を戦略的に進められるようになる。
 相性解析では、風味の類似性に着目した。例えば、唐辛子とショウガは成分が異なるものの、いずれも「辛味」を含むため、AIは両者を好相性と判断する。この手法により、おいしさ設計の効率化や人間が思いつかない新たな組み合わせの発見を可能にする。
 食品メーカーが分析した成分データを基に、DigSenseがAI分析を行い、食品同士の相性などを数値やマップで提示する。得られた成果は商品の研究開発や品質評価に活用される。
 同社はAIの応用として、風味を損なうにおいや雑味を抑える「マスキング・フレーバーオイル」も開発。シトラスジンジャー風味で、大豆ミートや魚の臭みを抑える効果があるという。
 DigSenseの最高執行責任者(COO)で同研究室の伊藤圭祐准教授は「分析結果の提示にとどまらず、企業と共に商品開発を進める存在を目指したい」と語る。11日には、フードテックなどの分野でスタートアップ(新興企業)が集う初開催の展示商談会「静岡ウェルネス・フーズEXPO」に出展し、開発技術や製品を紹介した。
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