急浮上の参院選争点「外国人規制」 静岡選挙区でも渦巻く賛否 排外主義か、必要政策か―問われ…

2025/07/17 08:18 

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 外国人との共生の在り方が参院選の主要争点に浮上する中、静岡選挙区(改選数2)でも、外国人の規制を訴える候補者に対して街頭で反対運動が起き、他候補からも批判の声が上がる展開になっている。「排外主義」なのか、必要な規制なのかー。候補者や政党を選択する有権者の判断が問われている。
 13日に静岡市で行われた参政党の新人松下友樹氏(41)の演説会場。松下氏は「日本人を最優先に守るのは当たり前。(過去の政権は)外国依存を強め、わが国の富を流出させて未来や希望を奪った」と反グローバリズムを主張した。
 会場前では十数人が手製のプラカードを持ち寄り、「差別に投票しないで」と訴えた。政治経験のない同市の会社員がSNSで参集を呼びかけた。「日本人優先は分断や排除につながる考え。抗議の声を世に示し、心を痛める人に寄り添いたかった」と語った。
 一方、同党の外国人規制に賛成する掛川市の子育て中の女性は、地元で増加する外国籍児童への対応を巡り「言葉もできずに来日し、学校で日本語教育までする必要があるのか」と不満を抱いていた。「SNSで参政党の主張に触れ、共感した」と支持に至った理由を明かした。
 争点化した外国人問題に他候補もそれぞれの主張を打ち出す。共産党新人の鈴木千佳氏(54)は「外国人が優遇されているから自分たちの暮らしが苦しい、とうそを言って差別を持ち込む政党がある」と批判。人種や国籍、性別などで差別されない社会の実現を訴えた。
 国民民主党の榛葉賀津也氏(58)は取材に「排外主義はだめ」とした上で、海外からの投資で不動産価格が高騰し、手取りが増えない日本人の住環境が悪化していると指摘。無秩序な投資の規制を主張する。
 自民党現職の牧野京夫氏(66)は取材に「差別や排斥運動はあってはならない」と強調。外国資本による土地取得への規制が必要かを検討するとの立場を示した。
 無所属新人の村上猛氏(74)はこの問題に言及していない。いずれも諸派新人の福原志瑠美氏(42)は「不法滞在する外国人に対して断固たる措置をすべき」、山口香苗氏(46)は「外国人が国内で行使できる権利を制限すべき」と訴えている。

■県内在住外国人は12万4000人 最多更新続く

 全国の在住外国人数(2024年12月現在)は376万8977人で静岡県人口を上回る。県内在住者は127カ国・地域の12万4281人で最多更新が続く。
 1990年の入管難民法改正で日系人の就労が認められ、県西部で外国人が急増した。浜松市などの集住都市は言語や文化の違いによる摩擦や課題を解決するため、国による政策実行を求めてきた。
 同市長だった鈴木康友知事が座長を務める全国知事会のプロジェクトチームは7月下旬にも多文化共生社会の実現に向けて基本法制定や司令塔機能の設置を求め、国に要望書を提出する。県は「日本一の多文化共生県」を目指す次期基本計画の策定作業を進めている。
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