【熱海土石流4年】「人災」忘れないで 被災者、再発防止や切なる願い

2025/07/04 08:33 

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 「天災ではなく人災だったことを忘れてはいけない」「しっかり責任を追及し再発防止につなげてほしい」―。熱海市伊豆山の大規模土石流から4年が経過した3日、今も心の傷が癒えない遺族や被災者は復興途上の現場から切なる願いを訴えた。今年は参院選の公示日と重なったことで、国などに対し「住民の生命と財産を守るのが最大の役目」として安心安全対策を求める声も上がった。
 土石流の発生時刻とされる午前10時28分、防災無線でサイレンが流れた時、同災害で母を亡くした瀬下淳史さん(55)=横浜市=は母の自宅跡地で献花した。「(違法な盛り土を造った)業者も、指導して災害を食い止められなかった行政も、このようなことを二度と起こさないようにしてもらいたい」との思いを語り、違反者に対する罰則強化を求めた。兄の雄史さん(57)=千葉県=は、熱海の土石流をきっかけに制定された盛り土規制法が5月から県内で運用開始となったことに対し、「法律を作っただけで満足せず、適正に運用されているかチェックすることも大事。ザル法で終わっては意味がない」と厳しく指摘した。
 被災現場近くの寺で法要を営んだ住民団体「熱海伊豆山で心をつなぐ集い」の大舘節生代表世話人(79)は、自宅が土石流で流された。現在は市中心部で暮らしているが、「自分が元気な間に伊豆山に戻るのは無理かも」と復興の遅れを嘆く。自身も仕事で復旧工事に携わるが、「道が狭いため大型重機が入れず、なかなか進まない。国が援助して早く進めてほしい」と求めた。
 土石流により、伊豆山地区の赤井谷温泉組合が運営していた源泉は埋まったままの状態にある。復旧工事が遅れ、源泉があった地点に行けるようになるまで6年程度かかる見込みという。原幸一理事長(60)は「迂回(うかい)路などを造らないとたどり着けない。国や県、市が連携して早期に解決を」と願った。
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