中高生がリアルマネーで金融学習 静岡聖光学院「投資研究会」 社会情勢や企業活動分析も

2025/06/29 11:00 

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 静岡市駿河区の静岡聖光学院中・高の生徒有志が、リアルマネーで株式投資を学んでいる。OBからの年100万円の出資金で活動する「投資研究会」。金融教育が広がる中、実際に資産形成に挑戦するケースは少なく、生徒は社会情勢や企業活動を調べながら専門知識を身に付けている。
 研究会は2024年度に発足。母校への寄付を検討していた建材商社「野原グループ株式会社」(東京)取締役兼最高財務責任者(CFO)の長橋賢吾さん(47)が、活動を提案した。月に1、2回、企業や経済動向の分析や銘柄の選定、市場概況の確認などを行う。勤務先で社員の金融教育に携わる長橋さんは「金融知識は若い時に身に付ければ伸びしろがかなり大きくなる。自社のことしか知らないという社会人が多い中、世の中にはさまざまな会社があることや社会の仕組みを学んでおけば進路選択にも役立つ」と後輩に実践的な学びを促す。当面は毎年100万円を寄せ、定期的に生徒に指導、助言する。
 25年度は昨年度からの継続者を含め中学2年から高校3年の約25人が参加し、株主総会や証券取引所などへのフィールドワークも行う。18日に開いた本年度のキックオフ集会では、長橋さんが銘柄の選び方を指南したほか、証券口座として取引する野村証券の担当者が最近の株価動向を解説した。生徒は、昨年度投資した4企業から届いた株主総会の案内を確認したり議決権行使を体験したりした。
 活動2年目となる阪脇鉄平さん(高校2年)は、トランプ米政権の関税政策による株価の急落を目の当たりにして「一つの事象が世の中に与える影響を思い知った」と振り返り、「これまで国内株式にフォーカスしていたが、海外とのバランスも考えていきたい」と意欲を語った。ニュースなどで社会情勢を注視するようになった生徒は多く、文化祭での物販経験を機に参加したという滝廉成さん(高校1年)も「SNSでも株価の動向とその背景が気になる」と話した。
 金融教育は22年度に高校で必修化され、同校でも技術家庭科をはじめ公民科目「公共」の時間に、カードゲームなどを通じてライフプランの立て方や資産形成について学んでいる。研究会顧問の平本直之教諭(35)は「未来はどう変わるか分からない。授業と研究会の活動を通じてマクロとミクロの視点で社会を見つめながら、一人一人がどう幸せに生きられるか考える力を養ってほしい」と期待した。
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