中学1年生の排水路転落事故、県と遺族が和解 再発防止を条項に「命の重み感じて」 2018年…

2025/06/25 09:08 

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 静岡市清水区の急斜面に設けられた排水路で2018年6月、中学1年の男子=当時(12)、同区=が転落して死亡した事故を巡り、遺族が排水路を管理していた静岡県に損害賠償を求めた訴訟は、24日までに静岡地裁で和解が成立した。県が遺族に哀悼の意を表し、再発防止に努めることなどが和解条項に盛り込まれた。同日、遺族が取材に対して明らかにした。
 遺族や代理人によると、和解は25年3月19日に成立した。県が和解金を支払うほか、検察審査会の付言を受け止めて安全管理を徹底すること、調整池での供養を認めることなど10項目の和解条項に同意した。謝罪は含まれていないという。同24日には実際に法要が営まれ、県中部農林事務所長ら県職員3人が参列した。
 事故が発生していなければ男子は今年、二十歳を迎えるはずだった。母親は取材に「(注意喚起の)看板や(進入を防ぐ)バリケードさえ設置されていれば、容易に防ぐことができた事故だった」と消えることのない思いを吐露。県には改めて「息子の命の重みを感じてほしいし、想像力を働かせながら業務に当たってほしい」と切望した。
 事故は18年6月27日に起きた。男子が排水路を滑り落ち、調整池に転落。頭を強打し、搬送先の病院で死亡が確認された。県中部農林事務所の事故当時の所長ら6人が業務上過失致死の疑いで書類送検されたが、静岡地検は20年1月に6人全員を嫌疑不十分で不起訴処分にした。静岡検察審査会は21年4月、「不起訴相当」と議決した一方で「県中部農林事務所としての安全に対する意識が不足していたのではないかと思われる」と付言。遺族は同8月、県を提訴していた。
静岡新聞

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