ガソリン暫定税率廃止「無謀な法案」 財金委員長解任の井林氏、悔しさにじませ 参院選前に与野…

2025/06/19 08:36 

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 野党7党が共同提出したガソリン税の暫定税率廃止法案の対応を巡り、18日の衆院本会議で所管する財務金融委員会の委員長を解任された自民党の井林辰憲氏(静岡2区)。今夏の参院選を控えて先鋭化する与野党の対立に巻き込まれる形で役職を追われた。
 「解任決議案は可決されました」。衆院本会議場で額賀福志郎議長が採決結果を読み上げると、野党議員の拍手が湧き起こった。対照的に静まりかえる与党側の一角で、井林氏は口を真一文字に結んで結果を聞いた。「無謀な法案がおそらく廃案になる。政治家冥利(みょうり)に尽きる」。本会議後、記者団の取材に答える表情も硬いまま。ただ、委員長として「少数会派の意見を丁寧に聞くことを心がけてきた」と時折悔しさもにじませた。
 野党が法案を提出した11日以降、財務金融委は開かれなかった。16日には所属する野党議員が委員会開催要求書を井林氏側に渡したものの、状況は変わらず。野党は議事の整理や開会日時決定の委員長権限を行使しなかったことを理由に、解任決議案に踏み切った。
 一方で、自民は法案の柱でもある7月からの暫定税率廃止に否定的だ。財務金融委は野党議員が数で上回っているため、採決に持ち込まれれば、可決される可能性が高い。こうした事情から党は委員会開催に後ろ向きで、その意向に縛られる井林氏は委員長権限を行使する選択肢を持ち合わせていなかったと言える。
 解任決議案の採決前の討論では、県内議員が衆院本会議場で意見を戦わせた。解任に賛成する国民民主党の田中健氏(静岡4区)は「法案はたなざらしで、国会の機能を停止させた。委員会を開いて堂々と議論すべきだ」と主張。解任に反対の立場で登壇した自民の深沢陽一氏(比例東海)は「委員会運営に何の瑕疵(かし)があるのか。法案は国会審議に耐えられる代物ではない」と訴えた。
 仮にガソリン減税法案が少数与党の衆院を通過したとしても、与党が多数を占める参院での審議の行方は見通せない。自民の閣僚経験者は「参院選で争点化するためのゆさぶりだ」と指摘する。立憲民主党のベテランは「解任決議案は野党が一枚岩になれるかの試金石だった」とし、野党間の足並みがそろわない選択的夫婦別姓や政治改革への波及を期待した。
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