築65年の市役所の移転新築に“待った” 三島市議会が関連条例を否決 市長「断念しない」

2025/06/11 08:36 

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 三島市議会(定数22)6月定例会は開会日の10日、市が南二日町広場に整備する方針を示している新庁舎の場所を定める「位置条例」案を審議した。賛成が13人と可決に必要な出席議員(21人)の3分の2に届かず、否決された。1960年建築の現庁舎の老朽化が進む中、2031年度を予定する完成時期に影響が出るのは必至だ。豊岡武士市長は「移転は断念していない」とし、再び議案を提出する可能性を示唆した。
 市は昨年8月、JR三島駅から南に約2キロ離れた国道沿いにある同広場に移転新築する方針を発表。6割が同広場への移転を望んだ市民アンケート結果を尊重し、事業費や生涯コストなどを総合的に判断して決めていた。
 一方、移転後に中心市街地の一角にある現在地周辺の衰退につながるとの懸念が市民の一部にあり、反対した市議は「中心市街地の空洞化に拍車をかけないか」と指摘した。千年に1度の洪水浸水想定区域である点や交通環境の悪化への対策が不十分との意見もあった。
 庁舎の移転に伴う位置条例を巡っては、神奈川県鎌倉市が22年12月定例会に提出した条例案を否決され、議会の同意が得られないまま。当初28年度を予定していた供用開始は31年以降と遅れが生じている。三島市は位置条例案の可決後に基本計画の策定に入る予定だったが、スケジュールの変更を余儀なくされる。
 豊岡市長は「市が発展を遂げるチャンスをなくして残念。市民に申し訳ない」と話した。
静岡新聞

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