静岡企業の内部留保と配当金割合が増加 人件費は抑制傾向 静岡財務事務所調査

2025/06/05 08:32 

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 東海財務局静岡財務事務所がまとめた県内企業の内部留保と利益配分の調査によると、事業活動で生み出される付加価値額に対して内部留保と株主配当の割合が上昇する一方、人件費は抑制傾向が続いている。設備投資はほぼ横ばい。ただ近年強まる人手不足感を受け、従業員への還元を重視する企業が増えている。
 売上高から原材料費や外注費などを引いた付加価値額がリーマン・ショック(2008年)前の水準を回復する中、内部留保と配当金の割合は右肩上がりの傾向が続く。将来の設備投資、研究開発などを見据えた積み増しのほか、「収入が安定しない」として防衛的に内部留保を増やす企業も見られた。株主配当については中期経営計画に定めた目標に向け、「利益が出なくても株主還元は行う」との声もあった。
 従業員の人件費は製造業が横ばい、非製造業が上昇傾向だが、増加する付加価値額に占める割合(労働分配率)は下降が続く。それでも新型コロナウイルス禍以降は、従業員の還元を重視する企業数の割合が高まる。離職防止のために賃上げ、福利厚生の向上に力を入れるほか、生産ラインの自動化や休憩室、トイレなどを含めた職場環境の改善を進める企業も多い。
 山口恒所長は内部留保と労働分配率の推移から「賃上げの余力が企業に残っている可能性もある」としつつ、経済環境が変動する中で「景気の不透明感をどう考えるか」と先行きを注視する姿勢を示した。
 分析は財務省の法人企業統計年次別調査、同事務所の法人企業景気予測調査の県内情報を基に行った。回答企業数は594社。
静岡新聞

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