十返舎一九の肖像?を初公開 藤枝市郷土博物館・文学館で7日から 風貌が相似、市が取得

2025/06/06 09:40 

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 藤枝市郷土博物館・文学館はこのほど、江戸時代の戯作(げさく)者として広く知られる十返舎一九の肖像画とされる絵画1点を取得した。教科書などに掲載されている「戯作六家撰」(東京大国文学研究室所蔵)と風貌が似ているのが取得の決め手で、7日から同館で初めて公開する。
 4月上旬に取得したのは、絹本に描かれた肖像画(縦41センチ、横33センチ)。着物姿で右手に扇子を持ち、刀が左手の近くに置かれている。一九の肖像画であることを示す木札が付属していた。同館によると、江戸時代後期ごろの作とみられ、写実的な肖像画は珍しいという。地元の駿府十返舎一九研究会(大畑緑郎会長)によると、鼻筋や耳の形が似ている。ただ、着物の家紋が一九の墓石に掘られているものとは異なる。
 昨年11月に東京都内であった入札会に出品されたときから注目。今年3月末に都内の古書店から6万円程度で購入した。しかし、その後、運送会社による配送中に事故に遭い、運送会社が購入代を古書店に支払ったため、市は無償で取得した。一部折り目が付いたが、鑑賞には支障はない。
 同館の海野一徳学芸員(49)は「“数奇な”入手経緯をたどったこともあり、一層研究対象として興味を向けている。今後本格的な鑑定も検討していきたい」とする。江戸時代後期の滑稽本「東海道中膝栗毛」の作者として知られる一九は静岡市の出身。藤枝市にもゆかりの伝承が残る。
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