学校の防犯体制、静岡県内でも見直し進む 門の施錠や声かけ強化 東京・立川の小学校侵入事件受…

2025/06/05 09:27 

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 東京都立川市の小学校で5月、男2人が教職員に暴行した事件を受け、静岡県内の学校で防犯体制を見直す動きが広がっている。敷地内、校舎内への侵入を防ぐことが第一で、利便性や地域交流のために門戸を開いてきた現場は対応を迫られている。
 「セキュリティーを高めれば不便が生じる場合もあるが、命に代えることはできない」。静岡市葵区の千代田東小の畑利幸校長は言葉に力を込めた。同校は、事件で男らが無施錠の門から入ったとみられることを念頭に、特定の時間以外は複数の門を施錠すると決めた。これまでも門は閉めていたものの遅刻、早退する児童や非常勤職員のために鍵はかけておらず、変更を保護者に通知し理解を求めた。5月下旬には静岡中央署の協力を得て抜き打ちの不審者対応訓練を実施。畑校長は「全校で意識を高める」と話した。
 首都圏では門を施錠し来校者にインターホンで対応する学校が増えているが、県内では少なく、そもそも立地環境などによって敷地内への立ち入りが容易なケースもある。校庭の一部が公園の機能を持つ同区の伝馬町小は、児童が校庭で活動する際の見守りや来校者への積極的な声かけの強化を確認した。榎本義男校長は「地域の方から『一緒に子どもたちを守ろう』と温かい言葉をいただいた。多くの目で、できることを徹底する」とした。
■不審者想定訓練 実施は7割程度
 国は全ての学校に危機管理マニュアルの作成を義務づけていて、事件後、県内各教育委員会はマニュアルの再確認を求めている。文部科学省の2023年度の調査によると、県内全校がマニュアルを用意。ただこれに基づき地震発生時の訓練をほとんどの学校が行った一方、不審者侵入を想定した訓練は7割ほどにとどまった。
 常葉大教育学部の木宮敬信教授(学校安全)は「静岡は防災が重視され、10、20年前から防犯意識は変わっていない。実効性のある訓練の実施のほか、財政負担がなくてもできる備えの検討が急務」と指摘。例えば、教員が常に笛や携帯電話を所持することは緊急事態発生の周知や通報に役立つとし「犯罪手口だけでなく、対策に活用できる物品が時代と共に変化している。今の体制がベストか点検すべき」と呼びかける。
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