ウーバー 静岡県内エリア拡大 焼津市と全国初の連携協定 買い物困難、災害時の物資供給に

2025/06/03 08:00 

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 スマートフォンで配車や宅配を注文するサービス「ウーバー」が静岡県内でも今年に入り、事業エリアを広げている。宅配のウーバーイーツジャパン(東京都)は5月29日、焼津市と包括連携協定を締結。買い物困難者支援や災害時の物資供給体制の構築など、地方の課題解決に取り組むことで顧客の裾野拡大を図る。
 同社が自治体と連携協定を結ぶのは全国で初めて。水害や地震の在宅避難者などに個別宅配で物資を届ける仕組みの確立を目指す。自転車やバイクで料理や日用品を届ける配達人による高齢者世帯の見守り活動も検討する。中野弘道市長と協定書を交わした中川晋太郎代表は「テクノロジーを活用し、社会課題解決につなげたい」と話した。
 ウーバーイーツは2016年、日本に進出した。都市部を中心に浸透する中で20年に静岡、浜松両市で事業を開始。新型コロナ禍で在宅時間が増える情勢を追い風に拡大した。近年は全国100都市を目標に地方での展開を進め、3月に焼津、藤枝、島田、富士宮、掛川の5市でも事業を始めた。空き時間を活用して副業する会社員や学生ら配達員の確保と、加盟店舗の増加の両面に注力している。
 コンビニ店や量販店と連携して日用品を強化するなど、地方都市での利用者増加を図る。買い物に不便を感じる高齢者などが必要な物を「すぐに届ける態勢にしていきたい」(中川代表)と話す。
 一方、ウーバージャパン(東京都)の配車サービス「ウーバータクシー」は2月に静岡市、5月中旬には富士宮、富士、熱海、沼津、三島の5市などでスタート。県東部などのタクシー会社数社と連携している。
 自家用車の利用率が高いものの、高齢化などで「移動の足不足」が懸念される本県に商機を見いだした。アプリは約50言語に対応し、メッセージのやりとりも自動翻訳されるため、利用客の約半数を外国人が占める。同社は「提携するタクシー会社には、伸びていくインバウンド(訪日客)需要を効率的に取り込める利点がある」としている。
 <メモ>「ウーバー」の事業は米国企業ウーバー・テクノロジーズが展開する。ウーバーイーツは利用者がスマートフォンの画面上から飲食店や小売店を選び、表示されたメニューから品物を注文する仕組み。売り上げの一部をウーバー側が受け取り、配達員には距離や時間などに応じて対価を支払う。ウーバータクシーはスマホのアプリで乗車地と目的地を入力し、支払う予定の料金と推定到着時間を確認した上で依頼できる。約50言語に対応する。
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