子どもの「精神的幸福度」アプリで推定、発達支援 浜松医科大・千住教授ら研究 データ活用、切…

2025/05/27 07:39 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 浜松医科大(浜松市中央区)子どものこころの発達研究センターの千住淳教授らの研究グループが、子どもの「ウェルビーイング(精神的幸福度)」をアプリなどで推定し、発達支援につなげる研究を進めている。多様な子どもたち一人一人を、データに基づき、よりきめ細やかに支えることができる社会を目指す。
 研究はこのほど、科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業の本格研究開発課題に採択された。研究グループは2022年10月から25年3月まで、大阪府吹田市、東京都品川区の全公立小の児童を対象に、「睡眠は十分か」「朝食は取ったか」といった教員らが行う日々の健康観察をアプリで記録。各チェック項目について、数やパターンからアルゴリズム(計算式)を組み、教員が子どもに声をかけるべきかどうかの「フラグ」(兆候)を知らせるシステムを作った。「子どもの発達科学研究所」(浜松市中央区)の協力で研修ビデオも作成した。
 25年度からの本格研究では、動画・音声データから発達指標を予測する別の研究グループとも連携する。アンケートや音声、表情を見える化した子どものデータ▽子どもの個性や精神的幸福度を推定するアルゴリズム▽データに基づいた子ども一人一人への支援やサービスの三つの観点からデータベースを構築し、発達段階に応じた切れ目のないデータ活用と支援へとつなげる。浜松市とも今後の連携に向けて協議しているという。
 国連児童基金(ユニセフ)による先進・新興国38カ国に住む子どもの幸福度に関する報告書で、日本は「身体的健康」が1位だったのに対して、「精神的幸福度」は37位と経済的に恵まれていても心が満たされていない実態が際立つ。
 千住教授によると、国内の教育現場は人員不足で疲弊し、多様な子どもたちの発達をきめ細かく支援するのが困難な状態という。「まとまったデータに基づいた発達支援の手助けになるよう研究を進めたい」と話す。
静岡新聞

静岡ニュース

静岡ニュース一覧>

注目の情報