若者に”外注”し地域の祭り復活 函南の雷電神社で5年ぶり交流の場

2024/09/19 07:46 

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 高齢化や新型コロナウイルスの影響で地域コミュニティーの縮小が続く中、函南町の大土肥区はこのほど、企画や運営を若者に"外注"し、地元・雷電神社の祭りを5年ぶりに開催した。地元企業からの協賛品を景品にするなど費用を抑え、地域住民の手間も省いた。子育て世代の企画力と発信力で地域の交流の場が復活し、企画を担った渡辺健太さん(37)は「他地区の良いサンプルになるのではないか」と手応えを示す。
 同区は近年、高齢化で区の組織や行事が衰退。コロナ禍が拍車をかけ、子ども会も解散した。役員は5年間で全員代わり、4月に就任した神尾慎一区長は「祭りのノウハウがなく、外注するしかなかった」。ただ、イベント会社にかかる高額な発注は、区費でまかなえず中止を検討した。
 40年近く続く祭りが終わる可能性を聞いた渡辺さんの弟勇太さん(32)が「子どもが楽しめる祭りをなくしたくない」と、イベント企画会社を共に営む健太さんらに相談した。地元企業から協賛金ではなく、販促グッズや商品といった現物の提供を受け、くじ引きやゲームの景品にした。予算内で地域住民が楽しめる企画を区に提案した。
 準備や運営は同世代の仲間10人が担い、役員や区民の負担も軽減。一方、当日は来場者との接点をつくった。輪投げブースは老人会「大土肥幸会」が担当。来場した子どもにせわしく応対した田中佳子さん(78)は「普段会えない人と会えて元気になれた。子どもが喜んでくれてうれしい」と笑顔を見せた。
 渡辺さんらの交流サイト(SNS)での発信もあり、町内全域から来場。境内を埋めるにぎわいを見せ、神尾区長は「昔の10倍はいる。まさかこんなに繁盛するとは思わなかった」と話した。同様の悩みを抱える地域は多く、他地区から相談を受けている健太さんは「プロセスを共有し、他でも役立ててほしい」と話す。
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