浮き皮少ないミカン新品種 静岡県開発「春しずか」苗木供給本格化

2024/09/17 08:27 

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 静岡県農林技術研究所果樹研究センター(静岡市清水区)が開発した温州ミカンの新品種「春しずか」が品種登録され、生産者向けの苗木の供給が本格化している。生産現場を悩ませている「浮き皮」の発生が少なく、ミカンが品薄になる春先に出荷できるのが特長。2027年度にも販売が始まる見通しだ。
 浮き皮は果皮と果肉が分離して隙間ができる症状で、食味の低下や腐敗の原因となる。近年は収穫直前に気温が高くなったり雨が増えたりして被害が目立つようになり、業界内では気候変動の影響が指摘されている。
 春しずかは本県の主力品種「青島温州」より一回り小さく、浮き皮が発生しにくい。収穫時期は12月中旬ごろから翌年1月上旬ごろで、青島より1カ月ほど遅い。長期間貯蔵しても適度な酸味があり、食味も良好なため、全国的にミカンの流通量が少ない3〜4月にも出荷が可能という。収穫作業が集中するのを防ぎ、労働力を分散させられるメリットもある。
 理化学研究所と共同で研究を進め、約20年かけて育成した。今年3月にはJA静岡経済連から県内の生産者に約1900本の苗木を供給した。来年以降も苗木を安定的に供給し、生産体制を整えていく方針だ。
 同センター果樹生産技術科の太田知宏主任研究員(37)は「消費者や市場へのアンケートでも春先のミカンに対するニーズは高い。生産者にメリットを感じてもらえるよう周知に力を入れていきたい」と普及に期待を寄せる。
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