大阪・田尻町長、議会に異例の要望書提出 自らの不信任決議要請

2025/03/31 19:03 

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 大阪府田尻町の栗山美政町長は31日、防災・文化センター(仮称)の建設を巡り、町議会の反対で計画が進まないことを受け、金田裕治議長に対し、「町長に対する不信任決議案の議決を強く申し入れる」と異例の内容の要望書を提出した。計画に対する有権者の判断を問うため、町長選と町議選のダブル選の実施を求めている。

 栗山町長は毎日新聞の取材に応じ、防災対策を進める観点から建設の必要性を強調し、「やってきたことが信任されるのか間違っているのか、議員の言っていることが正しいのかおかしいのか、信を問いたい」と話した。不信任決議案が可決された場合は議会を解散して自ら辞職する考えを示し、出直し町長選に立候補する意思については「決めていないけれども、そうなるだろう」と述べた。

 センターは、町公民館の老朽化を受け、「人が集い、文化を醸成する拠点づくり」を目指し、2021年度に基本計画を策定した。南海吉見ノ里駅前に延べ4300平方メートルの建物を整備し、総事業費31億9000万円を見込む。多目的ホールや蔵書5万冊の図書館、公民館、飲食スペースなどを備える。指定避難所として、避難者を受け入れるための防災備蓄用の収納スペースも整備する。

 町は24年、町の付属機関としてセンター建設に関する専門家委員会の設置を求める条例の一部改正案を3回にわたって町議会に提案し、いずれも否決された。25年3月議会でも同様の条例案が反対5、賛成4で否決された。

 要望書は栗山町長名で提出し、「(計画は)2年間止まったままで、委員会設置の提案は4回にわたって否決された」と指摘。23年11月の町長選で「計画を前に進める」との公約を掲げて3選を果たしたことに言及し、「公約を前に進められない責任を痛感している」と記した。そのうえで「現在の議会は町長に対する不信任と判断せざるを得ない。この際、町長の不信任案を提出し、町長選と町議選を同時に実施して有権者に判断してもらうのが一番の道」と、不信任決議案の議決を求めた。

 金田議長は取材に対し、「異例のことで、議会としての意見を慎重にまとめたい」と話した。【中村宰和】

毎日新聞

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