どうなる?ハメネイ師の後継者選び 88人の聖職者は集まるのか

2026/03/01 19:38 

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 イランの最高指導者ハメネイ師が殺害されたことを受け、イラン指導部の後継者選びに注目が集まっている。だが、戦時下で憲法の規定通りに選定手続きを進めるのは簡単ではなく、有力な候補もいないとされる。

 憲法によると、最高指導者は終身制で、死亡時にはイスラム聖職者88人で構成する「専門家会議」が後継者を選出する。1989年に初代最高指導者ホメイニ師が死去した際は、すぐさま専門家会議が開かれ、翌日に当時大統領だったハメネイ師が後継者に選ばれた。

 だが、今回は米軍やイスラエル軍と交戦中で、専門家会議のメンバーが集まるのは簡単ではない。体制転換を狙う米側にとっては、会議自体が格好の標的になるからだ。

 後継者の有力候補がいないという問題もある。

 最高指導者は「政治的・社会的な洞察力」や「行政能力」などに加え、イスラム法学者としての学識を備えていなければならない。国民の支持や政治的な指導力があったとしても、イスラム聖職者でなければ就任できない仕組みだ。

 ハメネイ師は生前、自身と同じ保守強硬派だった愛弟子のライシ前大統領を後継候補と見定めていたとされる。だが、ライシ師は24年、ヘリコプターの墜落事故で急死した。

 その後、後継候補として名前が挙がってきたのが、ハメネイ師の次男であるモジュタバ・ハメネイ師だ。米CNNテレビなどによると、精鋭軍事組織・革命防衛隊と強いつながりを持ち、陰で政界への影響力を発揮してきたとされる。ただ、権力の父子継承への批判があるうえ、指導部で要職に就いていない点も問題視されているという。

 初代ホメイニ師の孫、ハッサン・ホメイニ師も候補の一人だ。ハメネイ師と異なり、比較的穏健な思想の持ち主とみられている。だが、政治経験が少なく、政界への影響力という点では劣る。

 ハメネイ師の死後、暫定的に国を運営する「臨時指導評議会」のメンバーに決まったアラフィ師の名前も挙がる。専門家会議の副議長で、ハメネイ師の腹心だったとされる。ただ、治安機関との関係が薄く、知名度も低い。このほか、複数の保守強硬派の名前が取り沙汰されているが、いずれも決め手に欠けているのが現状のようだ。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、ハメネイ師は昨年6月にイスラエルと交戦した「12日間戦争」の際、3人の後継候補を指名したとされる。だが、誰を指名したかは明らかになっていない。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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