英独、相互防衛で合意 戦後初の2国間条約 トランプ政権関与低下で

2025/07/18 04:25 

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 英国のスターマー首相は17日、訪英したドイツのメルツ首相と会談し、安全保障などの協力を強化する「ケンジントン条約」に署名した。条約には、一方の国が武力攻撃を受けた場合に他方が軍事手段などで支援する相互防衛の条項も盛り込まれた。ロシアの脅威の高まりと、欧州防衛に消極的なトランプ米政権の姿勢を背景に、欧州主要国の連携が進んでいる。

 第二次大戦で戦火を交えた英独が、戦後に2国間条約を締結したのは初めて。メルツ氏はスターマー氏との共同記者会見で「安全保障はこの条約の軸だ」と述べ、「我々(の関係)は新たな章へと向かっている」と強調した。

 同条約は、英独が昨年10月に結んだ防衛協定を発展させた。射程2000キロを超える精密攻撃兵器を10年以内に共同開発するほか、防衛産業の協力を進める。

 また、英国に渡る不法移民への対策も柱の一つで、密航に関与する者の訴追で相互に協力することを明記。ドイツは、国内に保管されている密航用の小型船を差し押さえるため、年内の法改正を目指すという。

 スターマー政権は、2020年の英国の欧州連合(EU)離脱後に冷え込んだEU諸国との関係の「リセット」を進めている。今月10日には、フランスと核兵器の運用で連携することに初めて合意した。

 メルツ氏は5月の首相就任後、初めて公式に訪英した。【ロンドン福永方人】

毎日新聞

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