人類初の核実験から80年 米の元実験場に新たな記念碑設置
米西部ニューメキシコ州で人類初の核実験が行われてから80年となった16日、かつての実験場「トリニティ・サイト」の入り口に当時の被害や証言を伝える記念碑が新たに設置された。除幕式には周辺の風下地域に暮らした住民の親族ら100人近くが集まり、核廃絶を訴えた。
トリニティ・サイトは、米国が第二次世界大戦時に進めた極秘の原爆開発計画「マンハッタンプロジェクト」の中核施設だった同州ロスアラモス研究所から南へ約250キロの場所にある。「核の時代」の扉を開いた実験は広島に原爆が落とされる3週間前、計画の一環として理論物理学者のロバート・オッペンハイマーが主導した。エネルギーは長崎原爆とほぼ同じで、TNT火薬換算でおよそ21キロトンに相当したとされる。
爆心地から50マイル(約80キロ)圏内には4万人以上が暮らしていた。しかし住民らに事前の警告はなく、実験後もしばらく核爆発の事実は伏せられた。家屋や牧場、貯水槽などに放射性物質を含む灰が降り注ぎ、住民らは普段通りの生活を続けたという証言が残る。
米国では冷戦期に急増した大気圏内核実験などの影響で被ばくし、がんを患った住民らに補償する連邦法がある。トリニティ・サイトの風下住民はこれまで枠外だったが、今年初めて対象に含まれることが決まった。健康被害と補償を訴える草の根運動を率いたティナ・コルドバさん(65)は「米国内の核被害者は忘れられている」と語り、「ひ孫たちの世代もここに立ち寄り、実際に起こった歴史を知ることができる」と強調した。
式典には2017年のノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のメリッサ・パーク事務局長も参加した。パーク氏は、核実験は「脆弱(ぜいじゃく)なコミュニティーと環境に壊滅的な被害」をもたらす「暴力行為」だと指摘。「『核兵器が抑止力として世界を守っている』という主張は、危険なうそだ」と述べ、核兵器の禁止と廃絶を求めた。
爆心地から約80キロ離れたトゥラローサでは同日夜、トリニティ実験の影響を受けた人びとに思いをはせ、ろうそくをともす集いがあった。キャサリン・タイラーさん(73)は、「トリニティで起きたことに『誇りを持て』という人は地元にもいるが、私はそうは思わない。多くの代償を払った」と語った。【トゥラローサ(ニューメキシコ州)八田浩輔】
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