EU、交渉決裂時に1000億ユーロ規模の報復措置へ トランプ関税

2025/05/08 21:01 

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 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は8日、米国との関税を巡る交渉が不調に終わった場合に新たに講じる予定の総額1000億ユーロ(約16兆円)規模の報復措置を明らかにした。また、世界貿易機関(WTO)に紛争解決を正式に求めるとも表明した。EUとしての強硬姿勢を発信することで、米英の交渉が進展する一方で足踏み状態の通商交渉を進展させたい考えがあるとみられる。

 欧州委が公表した報復関税の対象は、工業製品や農作物など950億ユーロ相当の幅広い品目に及ぶ。また、44億ユーロ相当の鉄くずや化学製品の米国向け輸出も規制する。欧州委によると、米ボーイング社の航空機も含まれる。

 これらは、トランプ米政権が打ち出した相互関税と、自動車や同部品への関税に対する報復措置。品目については加盟国間の協議で変更される可能性がある。

 フォンデアライエン委員長は声明で、米国との交渉による解決を目指すと強調した上で、「すべての可能性に対し備える」と、決裂時には強硬手段を取ることも示唆した。

 EUは4月、米国による鉄鋼やアルミニウムへの関税に対しては先行して210億ユーロ相当の報復措置を決めていたが、トランプ政権が相互関税の上乗せ分の課税を90日延期したことに伴い、発動を延期。相互関税や自動車への関税を含めた通商交渉を優先させている。【ブリュッセル岡大介】

毎日新聞

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