独メルツ内閣発足 最年少閣僚は35歳の開発相、両親はイラク系難民

2025/05/07 09:48 

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 ドイツのメルツ新政権が6日発足し、開発援助を担当する経済協力・開発相にレーム・アラバリラドファン氏(35)=社会民主党=が就任する。両親がイラク出身の難民で、新政権では最年少の閣僚となる。欧州で排外的な政治運動が広がる中、「開かれた公正な社会の大切さを人生から学んだ」と語る若手の手腕が注目されている。

 メルツ新政権は、保守的なキリスト教民主・社会同盟とリベラルな社民党の「保革大連立」となる。アラバリラドファン氏は、多様性を重視する社民党で閣僚候補に選ばれた。

 独紙「ツァイト」の2023年のインタビューなどによると、アラバリラドファン氏は、イラク人の両親が工学を学ぶために滞在していたモスクワで生まれた。

 両親は、イスラム教徒が圧倒的に多いイラクでは少数派のキリスト教徒だった。就学ビザの失効後に一家は帰国したが、父親が当時のフセイン独裁政権に反対する活動をしていたため、アラバリラドファン氏が6歳の時に身の安全のために難民としてドイツへ渡った。

 アラバリラドファン氏はベルリン自由大で国際関係を学び、自らがかつて身を寄せた北部メクレンブルク・フォアポンメルン州の難民受け入れセンターに就職。15年にシリア内戦の深刻化を受けて、多くの難民が中東からドイツに訪れると、同州に到着した難民に滞在先をあっせんする部門の責任者となった。21年の連邦議会選挙で初当選した。

 夫はプロボクサーで、自らも趣味でボクシングをするという。娘が1人いる。【ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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