◇第１７２回天皇賞・秋（２日・東京１１Ｒ２０００メートル芝１４頭、ＧⅠ）

　成長著しい３歳牡馬が鋭い切れ味で古馬を破り、初のＧⅠ制覇を果たした。３歳馬が制すのは３年ぶりだ。

　スローペースで中団に構えた。最終コーナーで馬群が一気に加速すると反応良くギアを上げた。最後の直線で前が開けると、馬群から抜け出し、そのまま押し切った。３週連続でＧⅠを制したルメール騎手は「やった！」と全身で喜びを表現した。

　マスカレードボールとは初コンビだった。秋の天皇賞は通算６勝目となった名手も、「（レース前は）どんな競馬ができるかわからなかった」と振り返る。それでもしっかり１番人気に応えた。

　マスカレードボールはタイトルにあと一歩届かずにいたが、レースごとに成長を見せてきた。４月の皐月賞は３着で、日本ダービーは優勝馬に０秒１差の２着。ルメール騎手は「レースごとに落ち着いて、秋から大人になった」とたたえた。

　手塚貴久調教師も「こちらが想像できないくらい強くなる可能性があるのではないか」とさらなる可能性に期待した。【円谷美晶】