「ここまで来てみい」 京都国際右腕にV経験の父エール 夏の甲子園
1年前の夏。初優勝に沸くアルプススタンドから、マウンドに駆け寄るチームメートたちを見つめていた。輪の中心にいたのは、優勝投手となった同級生だった。
京都国際の酒谷佳紀投手(3年)は昨夏、けがでベンチ入りできなかった。しかし、今年は京都大会の2試合で先発し、エースの西村一毅投手(3年)とともに、連覇を目指すチームをけん引した。背中を押してくれたのは、元球児としての栄光と挫折を知る父敏さん(49)だった。
西村投手は、直球とチェンジアップの緩急で三振を量産する左腕。一方、右腕の酒谷投手は、最速145キロの直球と多彩な変化球でテンポよくアウトを積み重ねるタイプだ。酒谷投手は京都大会では2、3回戦で先発し、2試合で計2失点と好投。2年連続の甲子園出場に貢献した。
◇投手人生を変えた父の言葉
敏さんは2年生だった1993年夏、育英(兵庫)で投手として甲子園のマウンドに上がった。酒谷投手同様に打たせて取る投球スタイルで、準決勝では完投し、決勝でも中継ぎで登板。頂点に立ったチームで活躍した。
酒谷投手は幼いころはサッカーをしていたが、兄の影響で小学5年の時に野球を始めた。「無理に野球をやらせるよりは、自分の好きなことをやらせようと思っていました」と敏さん。始めると投手になり、中学の軟式野球部ではエースとなった。このころ、親子にとって印象に残っている出来事があった。
酒谷投手が振り返る。「中学時代に登板した試合で、ふてくされた態度を取ったんです。そのときにすごく怒られたのを覚えています」。敏さんはその言葉まで覚えている。「味方がエラーしても態度に出すな、全員でやってるんやで」。精神的に未熟だった。
◇「負けたくない」の一心で
高校は「投手の育成が上手で、甲子園も目指せる」と京都国際を選び、親元を離れた。1年秋からベンチ入りし、順風満帆な野球人生を送っていた。しかし昨夏の京都大会前に右肩甲骨を負傷し、メンバーを外れた。
チームは甲子園で初優勝を果たした。マウンドに集まる仲間たちを、酒谷投手はスタンドから眺めていた。うれしい気持ちもあった。「でも時間がたつにつれて、あの場面で同級生の西村が投げてたのが悔しくなってきて……」。大きな挫折を味わった。
ただ「西村に負けたくない」。その一心でできることを黙々と続けた。けがが再発しないようにと、これまで以上に時間をかけてストレッチとウエートトレーニングにも取り組んだ。
その後、初めて帰省した酒谷投手を見て敏さんは驚いた。「明らかに体が大きくなっていました。悔しい気持ちがあったはずなのに、腐らずにやるべきことをしてきたんだな、とうれしくなりました」
小さいころから酒谷投手に高校時代の経験を聞かせてきた。「ここまで来れるんやったら来てみい、という思いもありまして」と敏さんは冗談まじりに笑う。
◇「投げる姿を見せたい」
敏さんは甲子園で優勝した後、重圧で本来の実力を出し切れなくなった。最後の夏は、兵庫大会の初戦でコールド負けだった。だからこそ、くじけることなく努力し、中学時代の未熟な姿から成長した息子の姿が誇らしかった。
敏さんは「出る、出ないにかかわらず、自分のできることを最大限にやってくれたら」とエールを送る。
1日にあった甲子園練習では、酒谷投手もマウンドに立った。スタンドから見た景色とは全く違った。「ここで投げたい。甲子園で投げる姿を父に見せたい」との思いが強くなった。
13日の初戦は優勝候補の一角、強豪の健大高崎(群馬)が相手だ。自分が登板してもしなくても、「自分のできることをやる」覚悟だ。【資野亮太】
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