要介護認定の更新「事前通知」 政令市・中核市の6市が廃止

2026/08/25 08:00 

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 介護保険サービスを受けるために必要な要介護認定の有効期間を利用者に知らせて更新を促す「事前通知」について、全国の政令市・中核市計82市のうち少なくとも6市が過去10年以内に廃止していたことが判明した。

 業務負担の軽減が主な理由だった。

 更新を忘れると要介護認定を新規で受け直さなければならず、利用者の負担増につながるケースも想定される。

 2000年にスタートした介護保険制度では、利用者が1~3割の自己負担で介護サービスを受けられる。利用希望者は市区町村に要介護認定を申請して介護を必要とする度合いを判定してもらい、ケアマネジャーと契約すると状態に合わせたケアプランが作成される。

 ただし、要介護認定は自動更新されない。

 高齢者の心身の状態や生活状況は変化するため半年から4年までの有効期間があり、介護サービスを継続利用するには更新手続きが必要だ。更新を怠ると、10割負担を求められる。

 要介護認定を再度申請することはできるが、審査には1~2カ月程度かかるという。

 「切れ目のない支援」のため、厚生労働省は介護保険の制度開始当初から更新の事前通知の必要性を自治体に周知してきた。

 更新手続きは要介護認定の有効期間が終了する60日前から可能で、厚労省は「多くの自治体が、終了の1~2カ月前に要介護認定の更新を利用者に促しているはずだ」と説明する。

 ただ、実際に事前通知をするかどうかは自治体の裁量に任せているといい、実態は分かっていなかった。

 毎日新聞が6~7月、82市に事前通知の有無を尋ねたところ、浜松市、高松市、山形市、さいたま市、福島県いわき市、大阪府八尾市の6市が「廃止した」と回答した。

 廃止時期は17~26年。6市は事前通知を郵送しており、廃止の理由はいずれも「業務の負担軽減・簡素化、経費削減」だった。

 「ケアマネジャーの支援で更新がなされている」(浜松市)、「制度への理解が進んだ」(高松市)という意見があったほか、介護サービスを使う予定がないのに「お守り」として要介護認定を受けている高齢者らの存在を指摘して「事前通知が、緊急性のない要介護認定申請につながる」との見解を示した自治体もあった。

 6市以外では、愛知県豊橋市が事前通知を「一時停止中」、宮崎市と兵庫県姫路市が「見直しを検討中」と回答した。

 北九州市、福岡県久留米市、広島県呉市は介護保険制度の開始時から事前通知をしていなかったとし、広島市と福井市は「いつからか不明だが、事前通知はしていない」と答えた。

 ◇切迫する社会保障行政 申請抑制の狙いも

 自治体が要介護認定の更新を促す「事前通知」を取りやめ始めた背景には、高齢化の進展に伴う社会保障行政の業務逼迫(ひっぱく)がある。

 要介護認定者は23年度末時点で708万人。過去最多を更新し、10年間で100万人以上増えた。

 介護保険法は、介護サービスを受けるために必要な要介護認定について原則30日以内に審査すると定めるが、24年度に30日以内に認定されたのは全体の2割強。申請数の増加に業務が追いつかない状態になっている。

 毎日新聞の取材では、事前通知を廃止した6市とは別に、8市が「介護サービスの利用実績がない場合は送っていない」としており、事前通知を廃止・縮小する流れが広がっている。

 ただ、要介護認定の更新の事前通知は利用者やその家族の間で定着している運用だ。

 事前通知を継続している自治体からは「要介護認定の有効期間の見方すら分からない高齢者がいる」「更新漏れによる不利益を防ぐ」との意見が聞かれた。

 淑徳大の結城康博教授(社会福祉学)は「事前通知の廃止には、要介護認定の申請を抑制したいという自治体側の思惑があると考えられる。要介護認定が自治体の責任においてなされている以上、その更新時期を利用者に知らせるのは当然の業務で、廃止は自治体の怠慢と言えるのではないか。人員不足の状況は理解できるが、予算をつけて対応すべきだ」と指摘する。【岩崎歩】

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