八代市庁舎汚職の6000万円 ゼネコンが水増し発注で捻出か

2026/05/09 15:58 

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 熊本県八代市の新庁舎建設工事を巡る汚職事件で、あっせん収賄容疑で逮捕された八代市議の成松由紀夫容疑者(54)が受領したとされる現金6000万円は、工事を受注した準大手ゼネコン「前田建設工業」(東京)の九州支店が取引先に水増し発注するなどして捻出したことが関係者への取材で判明した。警視庁と熊本県警の合同捜査本部は事実上の「裏金」とみて捜査している模様だ。

 八代市の旧庁舎は2016年の熊本地震で被災し、市の「震災復興プロジェクト」の一環で建て替えが計画された。工事は19年7月、入札金額や技術力などの総合評価で落札業者を決める制限付き一般競争入札(総合評価落札方式)で公告され、前田建設工業を中心とした共同企業体(JV)が落札し、129億8000万円で契約を結んだ。成松容疑者は前田に落札させるため、総合評価の採点基準を変更するよう副市長に働きかけるなどし、その見返りとして21年6月、現金6000万円を受け取った疑いが持たれている。

 関係者らによると、社内調査で現金供与を把握した前田が26年1月、警視庁に情報提供し、捜査協力を申し入れた。警視庁と熊本県警の合同捜査本部が設置され、複数の同社社員らを任意で事情聴取。その結果、前田の九州支店が賄賂を捻出するために複数の下請け業者に協力を依頼していたことが判明。一部には断られたものの、応じた一部の業者に工事を水増し発注し、その水増し代金を業者側から現金で回収する方法などで6000万円を捻出したとみられる。

 成松容疑者は逮捕前に開いた記者会見で、市側への働きかけや現金の受け取りについて「断固否定します」などと説明。捜査関係者によると、逮捕後も容疑を否認している。

 一方、前田の社員らは全面的に現金提供を認めているが、贈賄罪の時効(3年)が成立しているとして捜査本部は立件を見送る見通しだ。

 前田は、下請け業者への水増し発注についての取材に対し「捜査への影響に鑑み、現時点でのコメントは差し控えさせていただきます。引き続き捜査に全面的に協力してまいります」と回答した。【金将来、野呂賢治、志村一也】

毎日新聞

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