中間貯蔵施設の計画受け入れ可否に影響か 山口・上関町議選が告示

2026/02/17 20:49 

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 山口県上関町議選(定数10)が17日、告示された。中国電力が使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設計画を公表して以来、地元での初の地方選挙となる。西哲夫町長は建設計画受け入れの可否を判断するに当たって、町議会の意見を重視する意向を示しており、選挙戦を通じた議論の行方に注目が集まる。投開票は22日。

 ◇候補12人の賛否は

 8年ぶりの選挙戦となった町議選に立候補を届け出たのは、現職10人、新人2人の計12人。毎日新聞が中間貯蔵施設建設計画の賛否を聞いたところ、賛成7人▽反対3人▽態度を明らかにせず2人――だった。

 賛成派の現職は「人口減少で財政が厳しくなる。住民サービスを続け、地域経済を活性化するためにも中間貯蔵施設建設は必要だ」と訴えた。反対派の新人は「きれいな海、豊かな自然といった上関の強みを十分生かし、原発の危険なお金に頼らなくても町を元気にする道はある」と計画の白紙撤回を求めた。

 ◇中国電の事業計画は町議選後?

 中間貯蔵施設建設を巡っては、建設候補地となっている上関町長島の中国電所有の土地で、中国電が2023年8月以降、文献調査やボーリング調査を実施。中国電は25年8月に「立地は可能」とする調査結果を町に伝えている。

 西氏はこれまでの取材で、建設計画受け入れの可否を判断するに当たり「議会は住民代表であり、意見を尊重する」との考えを示している。改選後も賛成派が半数か、それ以上となる公算が大きいが、賛成派、反対派の人数構成や得票数が議論に影響を与える可能性もある。

 もっとも、中国電は施設の具体的な概要を明らかにしていない。使用済み核燃料を金属製の容器(キャスク)に入れて空気の対流で冷やす「乾式貯蔵」を想定するが、どれだけの量をどのくらいの期間保管するかを盛り込む予定の事業計画は作成中で、町議選後に町に示すとみられる。

 反対派の候補者は「町から住民説明会もなければ、事業者から事業計画も提案されていない。計画を受け入れることで町がどのようになるのか示されていないなかで、町議選の結果が今後の計画を進める判断にはなり得ない」と批判する。

 ◇原発巡り二分されてきた町

 町はもともと原発本体の誘致の意向を1982年に表明していたが、11年の東京電力福島第1原発事故を受けて計画が中断された経緯もある。これまでも長年にわたり、原発受け入れを巡って町を二分してきた。

 住民の女性(71)は「長年続いてきた町民の間での推進、反対の対立も下火になり互いにほっとしていた。豊かな自然の中で過ごせて幸せだと思っていたのに対立が再燃すると思うと心が苦しい」と心配する。

 一方で、過疎が進み目立った産業がない町にとっては、中間貯蔵施設ができることによる経済的利益は大きい。町が議会に示した試算によると、使用済み核燃料1000トンを50年間貯蔵した場合、約360億円の交付金や67億円の固定資産税が見込まれる。

 町内のある女性(43)は「中間貯蔵施設はいらないと思っているが、町財政のことを考えると受け入れもやむを得ないと思う」。別の男性(75)は「財源があればまちづくりの幅が広がるので中間貯蔵施設建設には賛成だ」と話した。【脇山隆俊、大山典男】

毎日新聞

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